好き、なんだよ。
「奈和ちゃん、帰ろうか」


「ごめん。私今日就職の件で先生に呼ばれてて...」


「そっか。じゃあ先に帰ってるね。明後日のデート楽しみにしてる」


「私も。じゃあまた明後日」


「うん、バイバイ」



午前中で終わったため、皆浮き足立っている。


3年生は3学期はほとんど行かなくていいから皆で集まれるのも残りわすかだ。


それなのに足早に去っていく人ばかり。


私はそんなクラスメートを横目に見ながら荷物をリュックに詰める。


ロッカーに置きっぱなしだった教科書類を全て入れたら忽ち重くなった。


こんなのをずっと背負っていたら肩が痛くなりそうだ。


そうでなくても私が背負うものは何よりも重く、幾度となく押し潰されそうになったというのに。


そして、これから向かうのもその荷物を少しでも軽くするのが目的。


救われることはなくても救われたいと願う。


願い、誓う。


もう2度と過ちを犯さないと。


私は教室のドアをガラガラと開けた。


私は......


職員室ではなく、


あの場所へ向かう。


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