好き、なんだよ。
「やっぱりここだったか」



突然声を掛けられた。


声を聞けば分かる。


手の届かない彼だ。



「今日こそはちゃんと話を聞きたい」


「いや、でも夏に話したじゃん」


「あれが全てじゃないだろう?」



バレてたんだ。


だけど何で?


何でこの鈍感くんに分かるの?


さては...。



「森下から聞いた話と違う。どっちかが嘘をついてる。嘘をつくのが得意な朽木ならやりかねないなと思って」


「相変わらず酷いね。私のこと嘘つき呼ばわりなんて」


「それはいいから、ちょっと時間くれ。どうせ暇だろ?」


暇の前提で話を進めているようだけど、私だって暇じゃない。


両親が離婚して、おそらく普通の高校生の何倍も忙しい。


だけど、まあ、家にも帰りたくないし、


今日でお別れみたいなもんだし、


付き合ってあげるとするか。


なんて、上から目線だと怒られるな。



< 398 / 509 >

この作品をシェア

pagetop