好き、なんだよ。
「朽木ってさ、うどん好きだったっけ」


「まあまあかな」


「好きか嫌いかだったら?」


「それなら好きかな。前は嫌いだったけど」


「だよな。オレ給食の時にソフト麺半分もらって食べてた気がするもん。あと牛乳も飲まなかったし、ドライフルーツがめっちゃ入ったパンも嫌いだったよな?」


「良く覚えてるね」


「まあな。オレは記憶力がいいんだ」



それは確かに頷ける。


彼は元から賢い人で九九や公式は誰よりも早く覚えていたし、漢字や社会のような暗記ものは得意だった記憶がある。


それにしても懐かしい。


一度話し出すと止まらないから不思議だ。


思い出がぶわーっと波のように押し寄せてきて、そしてある時突然引いていく。


その瞬間に私達は店を出た。


気づいたら10分で食べ終わったのに、1時間近く話し込んでいた。



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