好き、なんだよ。
「奈和っ...」



足が止まった。


背中に熱を感じる。


下を見ると鎖骨のあたりに腕が回っていてそれを見るだけでとろけそうになる。


沸騰し出す血。


高鳴る鼓動。


もう死んでもいい。


そう思えるくらい、


私は


香西玲音が


好きなんだ。



「奈和...」



玲音くんの吐息が耳元で聞こえる。

嬉しい。

けど、苦しい。

それはきっと罪を知っているからだ。

私は首を大きく振った。



「こんなことしちゃダメだよ。栄木さんをいっぱい抱き締めてあげて。私なんてどうでも...」


「どうでも良くなんてねえ!どうでも...どうでも良いわけ......ねえだろ。1人で答え決めんじゃねえよ」



そう言うと、彼は腕をほどいた。


私は震える足を気にしながら回れ右をし、彼と向き合った。



「ごめん。私が変なことばっかり言っちゃったからおかしくなっちゃったんだよね。本当にごめん」



私の言葉に彼は激しく首を振った。



「謝られても困る。だってオレ...お前が......朽木奈和が好きだったから。謝られる前から好きだったんだ!」


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