好き、なんだよ。
駅から10分くらいの場所に私の自宅はある。


電車で喋り疲れたのか、私は黙って足元を見ながら歩いた。



「おばさん大丈夫かな?」



ぽつりと彼が呟いた。



「大丈夫だよ。家のお母さん元気だから。雨に打たれても風に吹かれても挫けない、毎日笑顔で呑気。それがわが母です」


「そういう人ほど本当は弱かったりするんじゃねえの?奈和がちゃんと側にいてやれよ」


「うん。私だけは何があってもお母さんの側にいる」


「そうしてやれ。だけど辛くなったら言えよ。奈和も抱え込み気質だからな」



心配してくれてありがとう。


でも、大丈夫だよ。


私もお母さんも1人じゃないから。






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