好き、なんだよ。
「香西くん何してるの?」



オレに話しかけて来たのは、文化祭でオレの腹を思いっきりパンチしたアイツだった。



「お前には関係ない」


「奈和ちゃん...いや、朽木さんなら屋上にいるよ」



その一言でオレは悟ってしまった。


そして、バカな口は無意識に動いた。



「お前、まさか...」


「俺はフラれたんだよ。フッたのは彼女だ。ずっと好きな人がいる。忘れられないから別れてほしいってそう言われた。俺は中途半端に人を想わない、真っ直ぐな彼女が好きだったんだけど...。
ああ、バチが当たったのかな...」



樋口は樋口なりに朽木を幸せにしようと思って努力していたのだろう。


それでも朽木奈和は、


オレをまだ


想い続けている。



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