好き、なんだよ。
ハイキング前日のことだった。


私が帰ろうとすると、栄木さんに話しかけられた。



「朽木さん、ちょっと待って!」


「なんですか?」



栄木さんは何も悪くないのに、口調がちょっと強くなってしまう。


モテる子の宿命なのかもしれない。


誰かから妬まれるのって。


妬んでるのが、自分という事実も受け入れないと。



「明日よろしくね。女子はわたしと朽木さんだけだから、何かあったら、朽木さん、助けてね。足挫くかもしれないけど置いていかないでね」


「うん。私も運動そこまで得意じゃないけど、頑張るね」


「さっすが、朽木さん!頼りになります!じゃ、また明日。バイバーイ」



勢いよく走り去る彼女。


ドアの所で危うくコケかけたが、彼女の後を追っていた彼が腕を掴んだ。



「夏音、気を付けろよー。こんなとこで転んだら明日行けなくなるぞ」


「ごめんごめん。でも、わたしが転びそうになったら、ちゃんとれおくんが助けてくれるから、わたし安心して歩けるよ」



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