君の声
第二章 夢の時間
あっという間に定時の18時を過ぎていた。
今日は残業する気にはなれず、私は帰り支度を始めた。
すると林さんがいつもの元気な声で話しかけてきた。
『真嶋先輩も行きますよね!懇親会~』
「え?なにそれ?」
『え、真嶋先輩知らないんですか?今日、会議に来ていた営業の人たちとの懇親会。さっき課長がみんなに話してましたよ。』
「あ、そうだったの……」
すっかり心ここにあらずの私。
そんな話は全然耳に入って来てなかった。
『じゃ、真嶋先輩、先にお店行きますね。19時からですよ。お店の場所はボードに書いてありますから。』
そう言い残すと、林さんは若手の女子社員の何人かと一緒に、キャアキャア言いながら弾むようにオフィスを出ていった。