君の声
気付くとオフィスには数人しか残っていない。
その数人の人たちも、いそいそと片付けをしている。みんな懇親会に向かうのだろう。
どうしよう…………
山田さんもいるよね
はぁ…………気まずい……
最後に見た山田さんの切ない横顔が、目に焼き付いて消えない。
なんて失礼なことをしてしまったのだろう。話の途中で電話に出てしまうなんて……
はぁ……
一人モヤモヤしていたら、気付くと最後の人が出ていこうとしている。
『懇親会、行くよね? 最後、戸締まりお願いね。』
そう言い残すといなくなった。