君の声


『よかった~。やっと普通に話してもらえた。』




山田さんの安堵した声……


…………山田さん












『実は……………… 俺、今日の会議どうしても出席したくて、ずーっと課長にお願いしてたんですよ。』




え…………




『だって、こんな機会ぜったいに無いと思ったから。本社に行ってどうしても会いたい人がいたから。』





……………………





『でも、いざこの日が近づくと、なんかこう…………なんて言ったらいいのか分かんないですけど………会うのが怖いっ……て言うか。不安でした。』




……………………





『でも勇気を出して挨拶に行ったら、全然話せなかったっていうオチ (笑) 』





……………………





『………………めちゃめちゃショックでしたよ。うん、まじ凹んだ…………。だって、ずっと会って話がしたいって思っていた人にどうやら嫌われちゃったみたいで……。』




……………………





『 でも、そのあと俺にとってチャンスが来たんですよね。偶然にも一緒に仕事が出来るっていう。』





………………あっ





『それも、二人きりで。もう、最高の時間でした。めちゃ張り切りました。単純な奴なんですよ、俺 。ずっと素敵な声の持ち主に会いたいって…………ずっとずっと憧れていた人に会いたいって…………ずっとずっと思っていたことが叶ったってだけで………』




……………………





『会った瞬間、体か震えましたよ。ずっと思い描いていた想像通りの人だったから。…………いや、それ以上でした。』





…………………





『 俺、避けられてますか。俺、うるさいやつですか。』





……………………





『………………もっと声が聞きたいです。もっと、俺に声を聞かせてください…………。』








なぜだろう、私の頬に涙が流れた。声を出して泣きそうになった。




それでも震える声を押し殺して、私は勇気を出して山田さんに聞いた。





「…………わたし、なの、それ……」




『…………そうですよ。俺の憧れの人。大好きな声の持ち主。いつも声を聞くと元気になれました。』



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