君の声
ギュルルル~
!!!?
な、なんでよ!
こんな大事な場面で私のお腹が鳴るのぉ~!
ギュルルル~
???!
ちらっと山田さんを見る。
山田さんも?
鳴った?
山田さんと目が合った。
私たちはどちらともなくクスクスと笑いだした。
『さあ、早く行きましょ! 美味しい料理が無くなっちゃいますよ。』
「……本当に!急ぎましょう。」
私たちは自然と笑顔になった。
私たちは、お互いが顔も知らない相手の声に引かれあっていた。
そして今は声だけでなく、全てに引かれあっている…………のかな(笑)
ビルの外に出ると細かい雪が舞っていた。
『わぁ』
「わぁ」
私たちは二人して粉雪が舞い落ちてくる、夜の澄みきった空を見上げた。
『うぅ!寒っ! 走りますか?』
山田さんはいたずらっ子のような笑みを浮かべると、私の顔をのぞきこんだ。
そして、少し照れながら、優しく私の手を引いた。
『さあ、行きましょう』
「……はい」
私たちは同時に寒空の下をかけだした…………