箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
「最初の想像では、いろはの横にいるのは知らない男だった。だって俺たちそういう契約だっただろう?」
「はい、そうでしたね」
「でもさ、いつからかそれに我慢できないって思っちゃったんだよ。いろはの隣にいる想像上の男を許せなくなってた。架空の男に嫉妬が止まらなくなった」

ハジメさんが少し笑った。

「いきなり抱いてくださいとか、どんな女だよって思ってたのに、気づいたらハマってたんだよな。三条いろはに」
「その節は失礼しました」

恥ずかしくて小さくなる私の肩をハジメさんが抱いた。

「俺、すげー幸せ」
「ハジメさん」
「いろはの隣にいるのが俺で、めちゃくちゃ幸せ。一生をいろはと誓えて嬉しいよ」

その声が心からのものだと感じるので、私の眦からも涙が溢れてきた。

「ハジメさんに出会わなければ、私はきっといい子のままでした。自分を持たず、母の言う通りに人生を選択していたでしょう。私はあなたに会って初めて『生まれた』んです、この世界に」

涙が止まらない。
彼と出会って三年が経った。ハジメさんのおかげで私は変われた。
ハジメさんは私の人生の恩人だ。
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