箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
「母に自分の気持ちを言えたのもあなたのおかげ。向き合える親子になれたのはハジメさんのおかげ」
「いろはが頑張ったんだよ。俺は後ろに隠れて、いろはの背中をぎゅうぎゅう押してただけだってば」

ハジメさんが照れ笑いしながら両手で私の頬を包む。溢れた涙をハジメさんの指が拭う。
私は真心を込めて、愛しい夫の瞳を見つめ、目を細めた。

「自分の足で歩く自由と不自由を教えてくれてありがとう。私の家族になってください。私の生涯たったひとりの人になってください」

ハジメさんのキスが降ってきた。もう一度誓いのキスをしよう。

「喜んで」

ハジメさんの声は甘く、私は彼の腕に飛び込み、胸に顔を押し付けた。
あなたと積み重ねる日々を想う。おじいさんとおばあさんになって、私とあなたのどちらかが先に逝く日がきても、きっと私は今日の日を思い出すのだろう。

柏木一さん、あなたに会えてよかった。
あなたを愛してよかった。

契約じゃない。ずっとずっと、私はあなたのたったひとりの恋人。



(おしまい)



一緒に物語を作り上げてくださった青井はな先生に愛と感謝を!
そして、長い長いいろはと柏木くんの恋の冒険を応援してくださった読者様に心より御礼申し上げます。

2020.2.21 砂川雨路
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