箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
結婚式当日は美しく晴れてわたっていた。
今日私とハジメさんは結婚する。
朝から新婦控室で準備をする私の前にハジメさんが現れたのは、準備万端整ってからだった。

「お~!」

ハジメさんの第一声は歓声だ。

「ハジメさん素敵です!」

私も思わず叫んだ。グレーのフロックコート姿のハジメさんはすごくカッコイイ。日常で着ない服まで素敵に着こなせちゃうスタイルも、日頃から駄々漏れの華やかな雰囲気も、今日の良き日の主役を輝かせている。
前髪を少し上げているので額が出ていてイケメンなお顔がよく見える。誰にも見せたくないくらいカッコイイけど、みんなに見てほしい。
ああ、いろはは困ります。こんなにも旦那様がカッコイイ。

「俺はいいよ、俺は。いろはさ~」

ハジメさんは妙に真面目な顔をしている。
今日の日のために選んだドレスは、ハジメさんの都合が合わなくて母と美野里と三人で選んだものなんだけど。
あれ?駄目でしたか?そんな硬い表情。
次の瞬間、ハジメさんがぶほっと吹き出した。

「リアル妖精(フェアリー)かよ!!いろは!!」

ハジメさんはお腹を抱えて笑っている。
え?え?何がおかしいの?フェアリー?

「ドレスがエンパイアだっていうのは聞いてたけど!」
「はい、そうです!エレガントで大人っぽいでしょう!?」

私は胸を張った。母と美野里の勧めで決めたのはAラインでもプリンセスラインでもなく大人女子に人気のエンパイア。
ハイウェストで切り替えがついていて、その下はストンとしたスカートデザインだ。パフのオフショルダーに大振りのネックレスをつけたら、童顔で背の低い私も大人花嫁の仲間入り!
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