箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
「いやいやいや!いろは、圧倒的に妖精さんだから。メルヘンでファンタジーな絵本の世界から地上に舞い降りちゃった系だから。背中に羽見えちゃいそうだから」
「ええっ!?」
「大人っぽいと対極すぎるんだけど……。お義母さんと斉田さんと選んだんだろ。完全にふたりの趣味じゃん」

苦しそうに笑うハジメさんに愕然とする私。確かにふたりは、何かにつけて私にふわふわ可愛い系の服を着せようとしたりするけれど、まさかドレス選びでは結託して私をメルヘン女子に仕立てあげようとしてたの?

「き、着替えますっ!こんな格好で人前に出られません!」
「なにいってんの。ここまで可愛いドレスが似合う26歳はいないぞ」
「可愛いじゃなくて、大人っぽくて素敵な花嫁さんになりたかったんです!」

半泣きな私をどうどうと押さえてハジメさんは言う。

「あのね、俺は今のいろはが好きなの。背伸びしないいろはがいいの。お義母さんと斉田さんのチョイス、いろはを最強に可愛くしてくれて俺的にはグッジョブだよ」

にかっと微笑まれると、何も言えなくなってしまう。ハジメさんが好きって言ってくれるなら、それが一番いい。ちょっと想像と違ったけど、ハジメさんが褒めてくれるなら……。

「いろは可愛いよ。こんなに可愛い姿、本当は俺だけがひとりじめしたい」

メイクさんも介添えさんもいるのに、ぬけぬけというハジメさんに頬を熱くしながら、私は頷いた。

「ハジメさんこそ素敵すぎます。王子様みたいです」
「じゃあ、妖精界のプリンセスを射止めた人間界の王子って設定で」
「ファンタジーから離れましょう!」

私は強めの口調で言い切った。


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