箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
式場の庭園は広々として、木々で周囲の建物が見えないよう配慮されているせいか、外国のような風情だった。
私とハジメさんが選んだのはガーデンウエディング。

親族は、母、ハジメさんのご両親と車いすに乗ったおばあちゃん、お姉さんご夫妻と姪っ子ちゃん五歳。
招待客はまず、デー管の面々、退職された志辺さんも駆けつけてくれた。ハジメさんの前所属の営業企画、現所属の第一営業部の人たちも揃っている。美野里と柘植さんは仲睦まじく並んでいる。

芝生の中に設けられた祭壇で、ふたり愛を誓った。人前式のスタイルにし、難しいことはなく、皆さんに証人になってもらいますという宣誓をする。結婚証明書にサインをし、指輪の交換。誓いのキスはちょっと緊張した。みんなの前だから。
だけど、目の前のハジメさんの柔らかな表情を見つめていたら、幸せが溢れるように湧いてきて、早くも涙が出そうになってしまった。軽く合わせた唇。みんなから盛大な拍手が沸き起こる。
ああ、私、すごく幸せだ。

会食は席もあるけれど、立食に近い。母はハジメさんのご家族と懇談している。会社の面々が私とハジメさんとかわるがわる写真を撮りにくる。ごはんを食べる暇がないとは聞いていたけれど、本当にそう。忙しいんだね、新郎新婦って。
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