箱入り娘ですが、契約恋愛はじめました【最終番外編】
シャワーを浴び、バスローブにガウンを羽織った状態で窓辺に立つ。
結婚式プランで、今日はセミスイートに宿泊中。大きな窓から都内の灯りの数々が見えた。今日結婚式を挙げた庭園は逆側なので見えない。

怒涛の日々が終わった、という気分。
母に結婚を許してもらって、ハジメさんのご両親も交えて顔合わせをして、そこから式の準備とハネムーンの計画を立てて……。
それが今日、一段落したんだなあと思うと感慨深い。そして私とハジメさんは名実ともに伴侶になった。これってすごいことだ。
私たちの仲を公のものにしたんだもの。当たり前のことかもしれないけれど、ものすごく嬉しい。

「いろは」

振り向くと、お風呂あがりのハジメさんがいる。腰にタオルを巻いただけの状態で私が慌てた。

「風邪ひいちゃいますよ!」
「え~?大丈夫だって」
「もう秋なんですから、ほら、Tシャツでいいので着てください!」

まるで昨夜の母みたいに、私はハジメさんの荷物の中からTシャツとハーフパンツを引っ張り出して渡す。

「まあ、旅行前に風邪ひいたらつまんないもんな」
「そうですよ」

おとなしく服を着たハジメさんが、ベッドに腰かけた。私はその横に並んで座る。ふたりで眺める街の灯りは、ちょっとロマンチックだ。

「俺さあ、いろはが花嫁になるところを何度も想像した」

ハジメさんが口を開いた。
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