With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
翌日の練習は、暑さを避ける為に、朝7時スタート。さしものフリーク達も、ほとんど姿がなかったけど、山下さんは当たり前のように登場。
「現役の時の朝練考えたら、楽なものよ。」
と笑うと、練習準備を手伝ってくれた。ブランクを全く感じさせない手際の良さは、先輩のマネージャーとしての優秀さを改めて見せてもらった。
ルーチンを手早くこなすのはもちろん、監督や選手の望むことをいち早く察知して、先回りして動いていく。
それだけじゃない、本来のマネージャー業務だけじゃなく、副キャプテンとして、ノックをしたり、選手にアドバイスしたり、他校分析の為のデータベースを作ったり・・・。
(凄い人だったんだな。私なんか足元にも及ばない、絶対に敵わないよ・・・。)
正直、内心でため息をついていた。
「木本さん。」
ふと私を呼ぶ声がする。ハッとその声の方を振り向くと、松本くんが立っている。どうやら落ち込んでいる間に、いつの間にか休憩が入っていたようだ。
「山下先輩、凄いね。」
「そうだね・・・。」
そんなつもりはないんだろうけど、改めて山下さんと自分の差を突きつけられたような気がして、私はちょっと力ない声で頷く。
「敵わないと思ってる?」
「えっ?」
「そんなの当然だよ。年齢も経験も全然違うんだから。山下さんを目標や参考にするのは構わないし、大切なことかもしれない。だけど木本さんは山下さんにはなれないし、なる必要もないと思うよ。」
「松本くん・・・。」
「だって、木本さんと山下さんは全然違う人間なんだから。僕もついこの間まで、兄貴のようになりたくて、兄貴を超えたくて、でもそんなこと絶対に出来るわけないって諦めてたんだ。だけど、最近たまたま結果が出てさ、別にうぬぼれるつもりはないけど、兄貴は兄貴、確かに凄すぎる選手だけど、コピーになろうとしたり、必要以上に意識するのって、ちょっと違うんじゃないかって思うようになったんだ。」
「そっか。松本くん、成長したね。前に話しした時の自信のない松本くんじゃ、もうないんだね。」
「いや、自信なんてないよ。なんで今打ててるのか、自分でも全然わかってないし、次の試合からパタッと打てなくなるんじゃないかってビビってるからね。でも今は自分の出来ることを全力でやろう、そう思えるようになったから。自分に高望みも背伸びもしなくなって、なんか楽になったんだよ。」
そう言った松本くんの顔を見てるうちに、私の心もすっと落ち着いて来るのを感じて来た。
「そっか、そうだよね。松本くん、ありがとう。」
私がそう言って頷くと、松本くんはホッとしたように微笑んだ。
「現役の時の朝練考えたら、楽なものよ。」
と笑うと、練習準備を手伝ってくれた。ブランクを全く感じさせない手際の良さは、先輩のマネージャーとしての優秀さを改めて見せてもらった。
ルーチンを手早くこなすのはもちろん、監督や選手の望むことをいち早く察知して、先回りして動いていく。
それだけじゃない、本来のマネージャー業務だけじゃなく、副キャプテンとして、ノックをしたり、選手にアドバイスしたり、他校分析の為のデータベースを作ったり・・・。
(凄い人だったんだな。私なんか足元にも及ばない、絶対に敵わないよ・・・。)
正直、内心でため息をついていた。
「木本さん。」
ふと私を呼ぶ声がする。ハッとその声の方を振り向くと、松本くんが立っている。どうやら落ち込んでいる間に、いつの間にか休憩が入っていたようだ。
「山下先輩、凄いね。」
「そうだね・・・。」
そんなつもりはないんだろうけど、改めて山下さんと自分の差を突きつけられたような気がして、私はちょっと力ない声で頷く。
「敵わないと思ってる?」
「えっ?」
「そんなの当然だよ。年齢も経験も全然違うんだから。山下さんを目標や参考にするのは構わないし、大切なことかもしれない。だけど木本さんは山下さんにはなれないし、なる必要もないと思うよ。」
「松本くん・・・。」
「だって、木本さんと山下さんは全然違う人間なんだから。僕もついこの間まで、兄貴のようになりたくて、兄貴を超えたくて、でもそんなこと絶対に出来るわけないって諦めてたんだ。だけど、最近たまたま結果が出てさ、別にうぬぼれるつもりはないけど、兄貴は兄貴、確かに凄すぎる選手だけど、コピーになろうとしたり、必要以上に意識するのって、ちょっと違うんじゃないかって思うようになったんだ。」
「そっか。松本くん、成長したね。前に話しした時の自信のない松本くんじゃ、もうないんだね。」
「いや、自信なんてないよ。なんで今打ててるのか、自分でも全然わかってないし、次の試合からパタッと打てなくなるんじゃないかってビビってるからね。でも今は自分の出来ることを全力でやろう、そう思えるようになったから。自分に高望みも背伸びもしなくなって、なんか楽になったんだよ。」
そう言った松本くんの顔を見てるうちに、私の心もすっと落ち着いて来るのを感じて来た。
「そっか、そうだよね。松本くん、ありがとう。」
私がそう言って頷くと、松本くんはホッとしたように微笑んだ。