With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
解散は宣言されたけど、選手たちの多くはグラウンドを離れようとはしない。オーバ-ワ-クを避け、明日に備えて選手達にコンディションを整えさせたいという監督の意図は、みんな理解しているけど、やはり大事な試合を前に、大人しくはしていられないようだ。


そんな彼らの様子を、見守っていると


「やっぱり、居ても立ってもいられないよね。」


山下さんの声が。振り返ると、先輩は既に着換え、すっかり女子大生スタイルに。思わず見とれていると


「これ、ありがとう。」


昨日お貸ししたジャージの入った袋を渡された。


「先輩。」


「うん?」


「ありがとうございました。」


「みどり・・・。」


「先輩がいらしてくれなかったら、チ-ムの雰囲気は沈んだままだったと思います。私には、どうすることも出来なかった・・・だから、本当にありがとうございました。」


そう言って、頭を下げた私に、少し複雑そうな表情を浮かべた山下さんは


「出しゃばりだよね、私・・・。」


ポツンと呟くように言う。


「そんなことありません。」


私が慌てて首を振ると


「私さ、みどりに謝らなきゃならないことがある。」


意外なことを言い出す先輩。


「私に・・・ですか?」


「あなたを1人マネ-ジャ-にしてしまったのは、私のせいなんだ。2年の夏の大会が終わって、代替わりして私がチ-フマネ-ジャ-になった時点では、マネ-ジャ-は他にも3人いたんだよ。タメの子が1人と後輩が2人。でも3人とも、翌年の春までには辞めて行った。私と・・・合わなくて。」


寂しそうな表情を浮かべて、そんなことを言い出した山下さんを私は凝然と見つめる。


「先輩からチ-フに指名されたのは嬉しかったし、創部以来初めての女子の副キャプテンにも任命されて、私は張り切ってた。私は選手じゃないから、フィールド内で戦うことは出来ない。でも私はみんなと一緒に戦いたかった、だから自分に出来ることは全てやろう、そう決心したんだ。監督がわざわざ私を副キャプテンに指名してくれたのは、ただの雑用係やマスコットになることを期待されてじゃないはずだからね。だから、いろんなことを言ったり、やったりしたんだけど、当然それを快く思わない向きもあってさ。」


「先輩・・・。」
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