With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
御崎高の面々が去り、球場の雰囲気が一瞬緩んだ感じがしたが、試合が再開されると、また緊迫した空気に包まれる。明協高白鳥、相模高矢代の背番号10を付けた1年生同士の投げ合いは、両者一歩も引かないまま、スコアボ-ドに0が並んで行く。
「完全な投手戦だね?」
「ああ、鍔迫り合いって感じだ。」
「センタ-から見てると、徹のギアが完全に一段階上がったのがわかる。ひょっとしたら、俺達は初めて、アイツのフルMAXのピッチングを見てるのかもしれない。」
「文字通りのライバルなんだね、あの2人・・・。」
こうして私が佐藤くん、大宮くんと話している間にも、ウチの打者は矢代投手に打ち取られて行く。
「もうチェンジか、よし。」
「しまって行け大宮。」
「おう。」
佐藤くんの声掛けにニヤッと笑うと、大宮くんはセンタ-のポジションに走って行く。
「こうなったら我慢比べだ。頼んだぞ、白鳥。」
「任せて下さい。」
キャプテンの声掛けに頷いた白鳥くんは
(絶対、矢代より先に点を取られない。)
マウンドから、相手ベンチで汗をぬぐっている矢代投手に視線を送る。それに気付いた矢代投手もキッと睨み返すかのように白鳥くんを見る。こうして試合は完全な膠着状態、0-0のまま9回まで進み、とうとう私たちにとっては、初めての延長戦に突入した。
10回表裏は両チ-ムともランナ-を出したけど、やはりホームは遠い。11回のマウンドに向かう白鳥くんの姿からはさすがに疲労の色が見える。
「途中登板の矢代に比べて、白鳥は初回からずっとだからな。キツイだろうな。」
「うん・・・。」
(頑張って、白鳥くん・・・。)
私にはこうやって応援することしか出来ない。
先頭打者はサードゴロ、しかしここでウチのチ-ムの弱点の1つが出てしまう。打球をファンブルしてしまった松本くんが、慌ててファーストへ送球すると、これが大暴投になってしまい、バッタ-ランナ-は一気にセカンドへ。あまりにも手痛いミスがあまりにも大事な場面で出てしまった。
続くバッタ-が慎重にバントでランナ-をサ-ドに送った結果、1死三塁。一打、いやエラ-や犠牲フライでもサヨナラ負け。監督は次打者と次々打者を敬遠で歩かせるよう指示。塁を埋めて、守り易くするというセオリ-だが、これで四球も許されないという絶体絶命の大ピンチを迎えることになった。
「完全な投手戦だね?」
「ああ、鍔迫り合いって感じだ。」
「センタ-から見てると、徹のギアが完全に一段階上がったのがわかる。ひょっとしたら、俺達は初めて、アイツのフルMAXのピッチングを見てるのかもしれない。」
「文字通りのライバルなんだね、あの2人・・・。」
こうして私が佐藤くん、大宮くんと話している間にも、ウチの打者は矢代投手に打ち取られて行く。
「もうチェンジか、よし。」
「しまって行け大宮。」
「おう。」
佐藤くんの声掛けにニヤッと笑うと、大宮くんはセンタ-のポジションに走って行く。
「こうなったら我慢比べだ。頼んだぞ、白鳥。」
「任せて下さい。」
キャプテンの声掛けに頷いた白鳥くんは
(絶対、矢代より先に点を取られない。)
マウンドから、相手ベンチで汗をぬぐっている矢代投手に視線を送る。それに気付いた矢代投手もキッと睨み返すかのように白鳥くんを見る。こうして試合は完全な膠着状態、0-0のまま9回まで進み、とうとう私たちにとっては、初めての延長戦に突入した。
10回表裏は両チ-ムともランナ-を出したけど、やはりホームは遠い。11回のマウンドに向かう白鳥くんの姿からはさすがに疲労の色が見える。
「途中登板の矢代に比べて、白鳥は初回からずっとだからな。キツイだろうな。」
「うん・・・。」
(頑張って、白鳥くん・・・。)
私にはこうやって応援することしか出来ない。
先頭打者はサードゴロ、しかしここでウチのチ-ムの弱点の1つが出てしまう。打球をファンブルしてしまった松本くんが、慌ててファーストへ送球すると、これが大暴投になってしまい、バッタ-ランナ-は一気にセカンドへ。あまりにも手痛いミスがあまりにも大事な場面で出てしまった。
続くバッタ-が慎重にバントでランナ-をサ-ドに送った結果、1死三塁。一打、いやエラ-や犠牲フライでもサヨナラ負け。監督は次打者と次々打者を敬遠で歩かせるよう指示。塁を埋めて、守り易くするというセオリ-だが、これで四球も許されないという絶体絶命の大ピンチを迎えることになった。