With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
それを見て、今度は白鳥くんが振りかぶる。途端にまた歓声が、しかし全く気にすることなく、白鳥くんはキャッチャ-目がけて、ボ-ルを投げ込む。


ズバン!心地よい音を立てて、速球がキャッチャ-ミットに収まる。


「速い・・・。」


その瞬間に、また歓声が。その声に包まれながら、松本くんが感嘆の声を上げる。


それからしばらく、私達は、2人のピッチャ-のピッチングを見守る。


「どう思う?」


すると、松本くんがそう聞いて来る。


「星先輩のボ-ルは速いし、変化球もキレが凄いと思うけど・・・正直白鳥くんのボ-ルの方が・・・数段上、かな?」


私は率直に答える。


「久保くんは?」


「僕もミッチャンと同意見だな、先輩には申し訳ないけど。」


久保くんもちょっと遠慮がちに、そう答える。


「さっきも言ったように、星さんも県内では評価が高いピッチャ-なんだ。でもあの白鳥徹は、その星さんより上のボ-ルを投げてる。」


「うん・・・。」


「それも僕達と同じ1年生にも関わらず。僕は彼のボ-ルを初めて見た時、衝撃を受けた。そして、思った。こいつとなら、ひょっとしたら甲子園も夢じゃないかもって。」


甲子園・・・その言葉に、私も久保くんもハッとしたように、松本くんを見る。


「でも・・・今年の夏ということになると・・・壁は、高いけどな・・・。」


そう言うと、松本くんはフッとため息のようなものをついた。
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