With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
7回。白鳥くんは御崎高を0に抑えるけど、裏のこちらの攻撃も4番5番の頼みの2人が松本投手の前に、為すすべなしという有様。
(クソ!)
思わずバットを叩きつけそうになった松本くんと目が合う。私の顔を見て、ハッとしたような表情になった松本くんは懸命にその激情を抑える。そして後ろを振り返ると、お兄さんがバックのナインに大きくツ-アウトと声を掛けている姿が目に入る。その背中になんとも言えない余裕を感じて、唇を噛み締めるとベンチに下がる。
「初回にいきなり大宮くんと東尾さんが連打して、河井さんが歩いて。でもそれ以降、こっちは誰も塁に出ていない。完璧に抑え込まれてしまってる。」
「正直、まともにバッティングさせてもらってないぜ。」
佐藤くんとそんなことを話している横を、松本くんが俯き加減に通る。なにか声を掛けてあげたいけど、言葉が見つからずに、私は視線をグラウンドに戻すしかなかった。そのグラウンドでは6番の村井さんが3球目を力ないポップフライを打ち上げていた。打球方向を見ることもせずにマウンドを降り始めた松本投手。
「お前なんか、相手じゃない。」
そんな声が聞こえて来るようだった。残るイニングは2回、そう2回しかない・・・。
「まだ2イニングあります、しまっていきましょう。」
私はとっさに自分が心の中で思ってしまったことと反対のことを言う。さっきからあきらめ気味になりつつある、自分の心を叱咤するように。
「おぅ、わかってる。」
私の声掛けにキャプテンが、私の肩をポンと叩いて守備位置に向かう。
「任せとけよ、マネ-ジャ-。」
白鳥くんも私にニコリと笑い掛けるとベンチを出、そして松本くんは口を真一文字に結んで、飛び出して行く。
「みんな諦めてないね。」
「当たり前だ。もしそんな奴がいたら、俺と代わってもらうからな。」
佐藤くんの言葉に
「ごめん。私、マネ-ジャ-失格だ。」
思わずそう言うと、俯く。
「何事にも前向きなお前らしくないな。ま、あのピッチング見せられれば仕方ないかもしれねぇが。」
「小林くんに矢代くん、今までも好ピッチャ-はいたけど、松本さんは一枚も二枚もやっぱり上かなって・・・でも大丈夫、立ち直ったから。絶対逆転できるよ。私は信じてる。」
「切り替え早ぇな。でも選手たちはそんなお前の声援と笑顔から力をもらってるんだ。これからも頼むぜ、マネ-ジャ-。」
「佐藤くん・・・。」
かつては私を、女子マネを嫌っていた佐藤くんからこんなことを言われて、少々ビックリして、彼の顔を見ると、照れ臭そうに視線を逸らされてしまった。
(クソ!)
思わずバットを叩きつけそうになった松本くんと目が合う。私の顔を見て、ハッとしたような表情になった松本くんは懸命にその激情を抑える。そして後ろを振り返ると、お兄さんがバックのナインに大きくツ-アウトと声を掛けている姿が目に入る。その背中になんとも言えない余裕を感じて、唇を噛み締めるとベンチに下がる。
「初回にいきなり大宮くんと東尾さんが連打して、河井さんが歩いて。でもそれ以降、こっちは誰も塁に出ていない。完璧に抑え込まれてしまってる。」
「正直、まともにバッティングさせてもらってないぜ。」
佐藤くんとそんなことを話している横を、松本くんが俯き加減に通る。なにか声を掛けてあげたいけど、言葉が見つからずに、私は視線をグラウンドに戻すしかなかった。そのグラウンドでは6番の村井さんが3球目を力ないポップフライを打ち上げていた。打球方向を見ることもせずにマウンドを降り始めた松本投手。
「お前なんか、相手じゃない。」
そんな声が聞こえて来るようだった。残るイニングは2回、そう2回しかない・・・。
「まだ2イニングあります、しまっていきましょう。」
私はとっさに自分が心の中で思ってしまったことと反対のことを言う。さっきからあきらめ気味になりつつある、自分の心を叱咤するように。
「おぅ、わかってる。」
私の声掛けにキャプテンが、私の肩をポンと叩いて守備位置に向かう。
「任せとけよ、マネ-ジャ-。」
白鳥くんも私にニコリと笑い掛けるとベンチを出、そして松本くんは口を真一文字に結んで、飛び出して行く。
「みんな諦めてないね。」
「当たり前だ。もしそんな奴がいたら、俺と代わってもらうからな。」
佐藤くんの言葉に
「ごめん。私、マネ-ジャ-失格だ。」
思わずそう言うと、俯く。
「何事にも前向きなお前らしくないな。ま、あのピッチング見せられれば仕方ないかもしれねぇが。」
「小林くんに矢代くん、今までも好ピッチャ-はいたけど、松本さんは一枚も二枚もやっぱり上かなって・・・でも大丈夫、立ち直ったから。絶対逆転できるよ。私は信じてる。」
「切り替え早ぇな。でも選手たちはそんなお前の声援と笑顔から力をもらってるんだ。これからも頼むぜ、マネ-ジャ-。」
「佐藤くん・・・。」
かつては私を、女子マネを嫌っていた佐藤くんからこんなことを言われて、少々ビックリして、彼の顔を見ると、照れ臭そうに視線を逸らされてしまった。