With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
私たちが学校に帰り着いたのは、それから2時間ほど経った頃だった。ハマスタを出る時も大勢の生徒や保護者、それにOBOGたちに歓声に送られた。
「やったね、みどり。みんな、おめでとう、そしてありがとう。」
スタンドで力の限り、声援を送ってくれてた山下さんが人込みをかき分け、私たちに近付いて来て、この言葉のあとに感極まったように泣き出したのを見て
「先輩、ありがとうございます。」
私も思わずもらい泣きしながら答え
「卒業式の日も涙なんて、一粒も見せなかった山下さんが・・・。」
「先輩に褒められて、お礼言われたなんて、初めてだ・・・。」
3年生たちも感激の表情を浮かべていた。
そして学校に帰り着くと、これまた明らかに見送りの時より遥かに多い生徒、学校関係者そして保護者たちが大歓声で迎えてくれた。バスを降りる選手たちにクラスメイトや友人たちから声が掛かり、白鳥くん、松本くんが降り立つとそれに黄色い歓声が加わる。
(いよいよ凄いことになって来ちゃったな・・・。)
そんなことを思いながら、最後尾から私もバスを降りると
「みどり~。」
「やったね!」
おスミと美怜が私に手を振ってくれてるのが見えた。
「ありがとう~。」
私も満面の笑みで手を振り返す。こうして学校は興奮と混乱のるつぼと化していたが、球場で誰よりも大はしゃぎしていた校長に代わって、留守を預かっていた副校長が
「みなさん、本日はまことにありがとうございます。この喜びをこのままみなさんと分かち合いたいのはヤマヤマですが、近隣のみなさまのご迷惑になりかねません。後日、改めて優勝報告会を開催させていただきますので、本日はこれで解散をお願いいたします。」
と、残留組の教職員たちを指揮しながら、懸命に声を枯らしてアナウンスして回った結果、30分程で校内は落ち着きを取り戻すことが出来た。
ようやく喧騒から解放された私たちが後片付けを終え、グラウンドに集合した時には、長かった夏の陽がようやく西に傾き始めていた。
監督と山上部長の前に整列した選手たち、私もその列の端にいた。まずゴ-さんが短く祝福とねぎらいの言葉を述べた後、監督が口を開いた。
「みんな、お疲れさん。今日の試合は、一言で言えば、いい試合だった。お互いが持てる力を存分に発揮し、死力を尽くして戦った。そして我々が勝った。ここにいる全員が心を1つにして戦ってくれたお陰だ。今の俺の中にはお前たちに対する感動と感謝しかない。本当にありがとう。」
そう言って、私たちに監督は頭を下げた。ハッとした私たちは慌てて、頭を下げ返す。
「明日からは今度は、俺ですら未知の戦いが待っている。だが怯むことはない。我々は御崎高を初めとした強敵を相手に真向勝負を挑み、そして勝ったんだ。だから・・・神奈川県代表として、胸を張って甲子園に行こう!」
「はい!」
その言葉に、力強く応えた私たちに、監督は大きく頷いた。
「やったね、みどり。みんな、おめでとう、そしてありがとう。」
スタンドで力の限り、声援を送ってくれてた山下さんが人込みをかき分け、私たちに近付いて来て、この言葉のあとに感極まったように泣き出したのを見て
「先輩、ありがとうございます。」
私も思わずもらい泣きしながら答え
「卒業式の日も涙なんて、一粒も見せなかった山下さんが・・・。」
「先輩に褒められて、お礼言われたなんて、初めてだ・・・。」
3年生たちも感激の表情を浮かべていた。
そして学校に帰り着くと、これまた明らかに見送りの時より遥かに多い生徒、学校関係者そして保護者たちが大歓声で迎えてくれた。バスを降りる選手たちにクラスメイトや友人たちから声が掛かり、白鳥くん、松本くんが降り立つとそれに黄色い歓声が加わる。
(いよいよ凄いことになって来ちゃったな・・・。)
そんなことを思いながら、最後尾から私もバスを降りると
「みどり~。」
「やったね!」
おスミと美怜が私に手を振ってくれてるのが見えた。
「ありがとう~。」
私も満面の笑みで手を振り返す。こうして学校は興奮と混乱のるつぼと化していたが、球場で誰よりも大はしゃぎしていた校長に代わって、留守を預かっていた副校長が
「みなさん、本日はまことにありがとうございます。この喜びをこのままみなさんと分かち合いたいのはヤマヤマですが、近隣のみなさまのご迷惑になりかねません。後日、改めて優勝報告会を開催させていただきますので、本日はこれで解散をお願いいたします。」
と、残留組の教職員たちを指揮しながら、懸命に声を枯らしてアナウンスして回った結果、30分程で校内は落ち着きを取り戻すことが出来た。
ようやく喧騒から解放された私たちが後片付けを終え、グラウンドに集合した時には、長かった夏の陽がようやく西に傾き始めていた。
監督と山上部長の前に整列した選手たち、私もその列の端にいた。まずゴ-さんが短く祝福とねぎらいの言葉を述べた後、監督が口を開いた。
「みんな、お疲れさん。今日の試合は、一言で言えば、いい試合だった。お互いが持てる力を存分に発揮し、死力を尽くして戦った。そして我々が勝った。ここにいる全員が心を1つにして戦ってくれたお陰だ。今の俺の中にはお前たちに対する感動と感謝しかない。本当にありがとう。」
そう言って、私たちに監督は頭を下げた。ハッとした私たちは慌てて、頭を下げ返す。
「明日からは今度は、俺ですら未知の戦いが待っている。だが怯むことはない。我々は御崎高を初めとした強敵を相手に真向勝負を挑み、そして勝ったんだ。だから・・・神奈川県代表として、胸を張って甲子園に行こう!」
「はい!」
その言葉に、力強く応えた私たちに、監督は大きく頷いた。