With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
喜びのセレモニ-が終わり、監督から改めて解散が宣せられ、私たちがグラウンドを離れようと歩き出そうとした時だ。
「失礼します。」
という声と共にひとりの男性が入って来た。
「この度は、甲子園出場おめでとうございます。」
優しい笑顔をたたえながら、私たちを祝福してくれたその人に
「兄さん。」
「先輩。」
松本くんと久保くん2人からほぼ声が掛かる。
「お兄さん・・・?」
私が驚いたように松本くんを見ると
「やぁ君か。今日はいろいろお世話様。」
その人は久保くんに向かって言った。
「いえ。僕の方こそ、いろいろ教えていただきまして。」
「創、兄貴のこと知ってるの?」
「うん。今日の試合、ずっと隣合わせで見てたんだ。でも試合が終わって、ふと気が付いたら姿が見えなくなってて、どうされたのかと思ってたんだけど・・・。」
「いやぁ、すまん。あんまりにもドラマチックな幕切れだったんで、もう1人の弟のことが気になってしまって。」
「なるほど、そう言うことだったんですね。」
久保くんは得心したという表情になる。だけど私も、松本くん以外の他のほとんどの仲間たちも、話がまだよく見えずに戸惑っていると
「自己紹介させてもらいます。松本聡太、一応明協高校野球部のOBです。今日はみなさんの達成された偉業に感動して、祝福の言葉を述べたくて、卒業以来10年ぶりに、ここにやって来ました。改めてみなさん、今日はおめでとう。僕らの代は地区大会ベスト8が最高で、それがウチの部のベストの成績だったんだが、君たちはそれを塗り替え、ついに甲子園出場の偉業を達成された。OBの1人として、とても嬉しく、そして誇りに思います。本当におめでとう。」
暖かな笑顔と優しい口調で私たちに語り掛けてくださる松本聡太先輩の姿に、私はふと既視感を覚える。それがいったい何なのか・・・記憶を辿って行くうちに、私はハッと、もう1度改めて先輩を見る。
(間違い、ない・・・。)
それは遠い日の甘酸っぱい、なんとも懐かしくも切なく、そして忘れ得ぬ思い出。
(そうだったんだ・・・だから初めて松本くんに会った時に、前に会ったことがあるって思ったんだ・・・。)
次の瞬間、私は思わず、松本くんの横顔に視線を送っていた。
「失礼します。」
という声と共にひとりの男性が入って来た。
「この度は、甲子園出場おめでとうございます。」
優しい笑顔をたたえながら、私たちを祝福してくれたその人に
「兄さん。」
「先輩。」
松本くんと久保くん2人からほぼ声が掛かる。
「お兄さん・・・?」
私が驚いたように松本くんを見ると
「やぁ君か。今日はいろいろお世話様。」
その人は久保くんに向かって言った。
「いえ。僕の方こそ、いろいろ教えていただきまして。」
「創、兄貴のこと知ってるの?」
「うん。今日の試合、ずっと隣合わせで見てたんだ。でも試合が終わって、ふと気が付いたら姿が見えなくなってて、どうされたのかと思ってたんだけど・・・。」
「いやぁ、すまん。あんまりにもドラマチックな幕切れだったんで、もう1人の弟のことが気になってしまって。」
「なるほど、そう言うことだったんですね。」
久保くんは得心したという表情になる。だけど私も、松本くん以外の他のほとんどの仲間たちも、話がまだよく見えずに戸惑っていると
「自己紹介させてもらいます。松本聡太、一応明協高校野球部のOBです。今日はみなさんの達成された偉業に感動して、祝福の言葉を述べたくて、卒業以来10年ぶりに、ここにやって来ました。改めてみなさん、今日はおめでとう。僕らの代は地区大会ベスト8が最高で、それがウチの部のベストの成績だったんだが、君たちはそれを塗り替え、ついに甲子園出場の偉業を達成された。OBの1人として、とても嬉しく、そして誇りに思います。本当におめでとう。」
暖かな笑顔と優しい口調で私たちに語り掛けてくださる松本聡太先輩の姿に、私はふと既視感を覚える。それがいったい何なのか・・・記憶を辿って行くうちに、私はハッと、もう1度改めて先輩を見る。
(間違い、ない・・・。)
それは遠い日の甘酸っぱい、なんとも懐かしくも切なく、そして忘れ得ぬ思い出。
(そうだったんだ・・・だから初めて松本くんに会った時に、前に会ったことがあるって思ったんだ・・・。)
次の瞬間、私は思わず、松本くんの横顔に視線を送っていた。