With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
「木本さん・・・。」


驚いたように私を見る松本くん。


「実は山下さんにお願いして、少しノックの練習始めたんだ。だから・・・私に協力させて。」


「そうだったんだ。でも・・・本当に、お願いしてもいいの?」


そう言って、私の顔を覗き込むから


「うん。」


私は頷きながら、彼を見上げた。


「そっか・・・じゃ、是非よろしくお願いします。」


「はい、こちらこそ・・・。」


そう言って、笑顔を交わした私たちだったけど、そのままなんとなく見つめ合うような形になってしまい、ふと表情が強張ってしまう。


(えっ?これ、どうしたらいいの・・・?)


戸惑っていると


「あの~、申し訳ありませんが。」


突然して来た声。ハッとその声の方を向くと


「さすがにだいぶ暗くなって来たんで、そろそろ帰りましょうよ。」


そこには、ニヤケ顔でこちらを見ている久保くんが居て・・・我に返って、急に恥ずかしくなって、私たちは


「お、おぅ。そうだな、いつの間にか・・・木本さんごめん、行こう。」


「う、うん。」


慌てて久保くんに駆け寄る。


「お取込み中だったかな?ごめんね、お邪魔しちゃって。」


そんな私たちに、久保くんは尚もニヤニヤ顔で言って来るから


「ベ、別にお取込み中でもなんでもねぇよ。なぁ。」


「うん、変な勘繰りしないで。」


私たちは焦って答える。でも


(2人して、そんな顔赤らめて、動揺しちゃって・・・全然説得力ないんですけど。)


久保くんに心の中でツッコまれてるなんて、当然、私たちは全く気が付いてなかった・・・。
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