With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
番外編 哲の恋、私の恋 ①
それは凄まじい金属音だった。思わず私、五十嵐恵美はベンチから身を乗り出したけど、打球は一直線にライトスタンドに突き刺さって行った。私たち御崎高校の5季連続甲子園大会出場の夢が潰えた瞬間だった。
3年前、私たちが入学して、そして野球部に入部してから、ウチの高校は神奈川では無敵を誇っていた。「王者」そう呼ばれることを、私たちはいつの間にか当たり前のように思っていた。そして、私たちにとって最後の夏である今回も、私たちが神奈川県代表として、甲子園に行くのは「当たり前」だと思っていた。
ううん、そんな自惚れてるつもりはなかった。でも高校最初で最後となる敗北を突き付けられて、いつの間にか、そんな驕った気持ちを自分たちが持ってしまっていた現実を、私たちは突き付けられた。
「申し訳ありませんでした。」
全てが終わり、ベンチに戻って来たエースでキャプテンである松本哲以下の選手たちが、監督に頭を下げた。多くの選手が涙を流している中、哲の目に光るものはなかった。
「お前たちが謝る必要なんかない。」
監督の表情は穏やかだった。
「お前たちは全力を尽くして戦ってくれた。その結果は、敗北と出てしまったが、お前たちは何ら恥じることはない。勝敗は時の運、今は素直に勝者を称えばいい。ましてお前たちに俺は4季も続けて、甲子園に連れてってもらったんだ。感謝の気持ちこそあれ、謝ってもらったりしたら、罰が当たるよ。」
「監督・・・。」
「みんな今日まで、よくやってくれた。ありがとう。」
ここでとうとう哲と、そして私の涙腺も決壊した。
「さぁ、胸を張って学校に帰ろう。」
「はい・・・。」
こうして、私たちの最後の夏は・・・終わった。
3年前、私たちが入学して、そして野球部に入部してから、ウチの高校は神奈川では無敵を誇っていた。「王者」そう呼ばれることを、私たちはいつの間にか当たり前のように思っていた。そして、私たちにとって最後の夏である今回も、私たちが神奈川県代表として、甲子園に行くのは「当たり前」だと思っていた。
ううん、そんな自惚れてるつもりはなかった。でも高校最初で最後となる敗北を突き付けられて、いつの間にか、そんな驕った気持ちを自分たちが持ってしまっていた現実を、私たちは突き付けられた。
「申し訳ありませんでした。」
全てが終わり、ベンチに戻って来たエースでキャプテンである松本哲以下の選手たちが、監督に頭を下げた。多くの選手が涙を流している中、哲の目に光るものはなかった。
「お前たちが謝る必要なんかない。」
監督の表情は穏やかだった。
「お前たちは全力を尽くして戦ってくれた。その結果は、敗北と出てしまったが、お前たちは何ら恥じることはない。勝敗は時の運、今は素直に勝者を称えばいい。ましてお前たちに俺は4季も続けて、甲子園に連れてってもらったんだ。感謝の気持ちこそあれ、謝ってもらったりしたら、罰が当たるよ。」
「監督・・・。」
「みんな今日まで、よくやってくれた。ありがとう。」
ここでとうとう哲と、そして私の涙腺も決壊した。
「さぁ、胸を張って学校に帰ろう。」
「はい・・・。」
こうして、私たちの最後の夏は・・・終わった。