With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
私たち3年生の高校野球は終わってしまったけど、もちろん御崎高校野球部が終わるわけじゃない。敗戦から一夜明け、新たなキャプテン、副キャプテンそしてチ-フマネ-ジャ-が選出され、新体制が船出した。
新キャプテンの号令一下、アップのランニングを見守っていると
「恵美さん。」
と新チ-フマネ-ジャ-に声を掛けられた。
「うん?」
「あのぅ・・・明日から本当にグラウンドに来られないんですか?」
「そんなの当たり前じゃない。私はもうお役御免、というか引退したんだから。」
「困ります。まさかこんな急に恵美さんが引退されることになるなんて、思ってもみなかったし、まして自分がチ-フになるなんて・・・教えていただきたいことがまだいっぱいあるんです。」
不安そうに訴えて来る後輩。
「大丈夫だよ。今年1年、私のやること見てたでしょ?」
「それはそうですけど・・・。」
「私だって大学受験に向けて、そろそろ自分のことに集中しないと結構ヤバイんだよ。もう、ここに来てる余裕なんかないんだよ。」
「でも・・・。」
「聞きたいことがあれば、いつでも聞きに来てくれていいから。とにかく今日からはあんたがチ-フなんだから、あんたがしっかりしなきゃ、他のマネ-ジャ-が困るんだよ。さ、行っといで。」
そう発破を掛けてやると、後輩は情けない表情で頷いて、私から離れて行く。
「恵美の後釜じゃ、アイツがプレッシャ-感じても仕方ないだろ。もう少し優しくしてやれよ。」
そのやり取りを見ていた高橋航が笑いながら言って来るから
「航はあの子に甘すぎ。鼻の下伸ばして、デレデレしてるから、後輩に舐められるんだよ。」
と言ってやると
「ひでぇなぁ・・・。」
苦笑い。
「それに、いつまでもここに来てたら・・・私だって未練断ち切れないじゃん。」
「恵美・・・。」
「昨日の試合、出来たらやり直したい。本当は、あんたたちともっともっと一緒に戦いたかったよ・・・。」
その言葉を聞いて、航が俯く。その姿にハッとして
「ゴメン。マネ-ジャ-の私より、航たちの方がよっぽど悔しいのに・・・。」
「そんなことねぇ、お前は俺たちと一緒にずっと戦ってくれた。感謝してるよ、五十嵐恵美というマネ-ジャ-が俺たちの代にいてくれたことを誇りに思ってる。これマジだから。」
「・・・ありがとう。」
照れ臭かったけど、ここは素直に航の言葉を受け入れることにした。
「ところで哲は?」
「帰ったよ。」
「えっ、もう?」
「ああ。アイツも今はきっとここに居たくなかったんだろう。昨日の試合をやり直したい、そう誰よりも痛切に思っているのは、間違いなくアイツだろうからな・・・。」
航のその言葉は、私は胸を突き刺さった。
新キャプテンの号令一下、アップのランニングを見守っていると
「恵美さん。」
と新チ-フマネ-ジャ-に声を掛けられた。
「うん?」
「あのぅ・・・明日から本当にグラウンドに来られないんですか?」
「そんなの当たり前じゃない。私はもうお役御免、というか引退したんだから。」
「困ります。まさかこんな急に恵美さんが引退されることになるなんて、思ってもみなかったし、まして自分がチ-フになるなんて・・・教えていただきたいことがまだいっぱいあるんです。」
不安そうに訴えて来る後輩。
「大丈夫だよ。今年1年、私のやること見てたでしょ?」
「それはそうですけど・・・。」
「私だって大学受験に向けて、そろそろ自分のことに集中しないと結構ヤバイんだよ。もう、ここに来てる余裕なんかないんだよ。」
「でも・・・。」
「聞きたいことがあれば、いつでも聞きに来てくれていいから。とにかく今日からはあんたがチ-フなんだから、あんたがしっかりしなきゃ、他のマネ-ジャ-が困るんだよ。さ、行っといで。」
そう発破を掛けてやると、後輩は情けない表情で頷いて、私から離れて行く。
「恵美の後釜じゃ、アイツがプレッシャ-感じても仕方ないだろ。もう少し優しくしてやれよ。」
そのやり取りを見ていた高橋航が笑いながら言って来るから
「航はあの子に甘すぎ。鼻の下伸ばして、デレデレしてるから、後輩に舐められるんだよ。」
と言ってやると
「ひでぇなぁ・・・。」
苦笑い。
「それに、いつまでもここに来てたら・・・私だって未練断ち切れないじゃん。」
「恵美・・・。」
「昨日の試合、出来たらやり直したい。本当は、あんたたちともっともっと一緒に戦いたかったよ・・・。」
その言葉を聞いて、航が俯く。その姿にハッとして
「ゴメン。マネ-ジャ-の私より、航たちの方がよっぽど悔しいのに・・・。」
「そんなことねぇ、お前は俺たちと一緒にずっと戦ってくれた。感謝してるよ、五十嵐恵美というマネ-ジャ-が俺たちの代にいてくれたことを誇りに思ってる。これマジだから。」
「・・・ありがとう。」
照れ臭かったけど、ここは素直に航の言葉を受け入れることにした。
「ところで哲は?」
「帰ったよ。」
「えっ、もう?」
「ああ。アイツも今はきっとここに居たくなかったんだろう。昨日の試合をやり直したい、そう誰よりも痛切に思っているのは、間違いなくアイツだろうからな・・・。」
航のその言葉は、私は胸を突き刺さった。