With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
それから私は、御崎高一本に絞って、受験勉強に励んでいたんだけど、年も押し迫ったある日、驚愕の事態が起こった。なんと西くんが御崎高の推薦を辞退したというのだ。
「俺にも・・・意地がある。」
慌てて事情を尋ねた私に、西くんは言葉少なにこう言うだけだった。
漏れ伝わってきたところによると、本当に仲のいいバッテリ-が、なにをきっかけかはわからないけど、ある日、口論となり
「キャッチャ-なんか誰だろうと俺には関係ない。だからお前はただ黙って、俺のボールを受けてればいいんだ。そうしたら、甲子園だろうとプロ野球だろうと一緒に連れてってやる。」
と哲が言い放ったことが、西くんの逆鱗に触れて、彼は御崎高に推薦辞退を申し入れてしまったそうなのだ。私は哲に、西くんに謝って、仲直りするように忠告したけど
「アイツが勝手に辞退しちゃったんだから、もうどうにもなんねぇだろう。」
と言った表情からは、怒っているというより、困惑しているのがありありと伝わって来た。見た目によらない西くんの直情径行ぶりに、私も頭を抱えたくなったが、今更志望校の変更なんか出来るはずもなく、私は予定通り御崎を受験し、合格した。そして、せっかくの推薦を自らの手で棒に振った西くんは、一般受験で明協高校に進学することが決まった。
卒業式の日、あれ以来ずっと口をきかないままでいた哲と西くんは最後に
「お互い頑張ろう。」
と握手を交わして、一応和解した形になったけど、それを見ていた私の気持ちは複雑だった。正直、梯子を外された気分だった。
結局私は西くんに
「じゃ、元気でね。」
という言葉を伝えるのが精一杯。胸の内の思いを告げることなんて、出来るはずもなく、そのまま彼と別れることになった。
「俺にも・・・意地がある。」
慌てて事情を尋ねた私に、西くんは言葉少なにこう言うだけだった。
漏れ伝わってきたところによると、本当に仲のいいバッテリ-が、なにをきっかけかはわからないけど、ある日、口論となり
「キャッチャ-なんか誰だろうと俺には関係ない。だからお前はただ黙って、俺のボールを受けてればいいんだ。そうしたら、甲子園だろうとプロ野球だろうと一緒に連れてってやる。」
と哲が言い放ったことが、西くんの逆鱗に触れて、彼は御崎高に推薦辞退を申し入れてしまったそうなのだ。私は哲に、西くんに謝って、仲直りするように忠告したけど
「アイツが勝手に辞退しちゃったんだから、もうどうにもなんねぇだろう。」
と言った表情からは、怒っているというより、困惑しているのがありありと伝わって来た。見た目によらない西くんの直情径行ぶりに、私も頭を抱えたくなったが、今更志望校の変更なんか出来るはずもなく、私は予定通り御崎を受験し、合格した。そして、せっかくの推薦を自らの手で棒に振った西くんは、一般受験で明協高校に進学することが決まった。
卒業式の日、あれ以来ずっと口をきかないままでいた哲と西くんは最後に
「お互い頑張ろう。」
と握手を交わして、一応和解した形になったけど、それを見ていた私の気持ちは複雑だった。正直、梯子を外された気分だった。
結局私は西くんに
「じゃ、元気でね。」
という言葉を伝えるのが精一杯。胸の内の思いを告げることなんて、出来るはずもなく、そのまま彼と別れることになった。