With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
こうして、なんとなくカレカノになった感じで、私たちは甲子園に乗り込んだ。夏の大会を沸かせた1年生エース松本哲の存在は、当然、今大会でも注目の的だったが、結果はあえなく1回戦敗退。にわか仕立ての彼女では、エースを立ち直らせるには時間がなさ過ぎたのだ。
甲子園から帰ると、まもなく新学年。入学式が済み、やがて新入生が入部して来て、私たちも先輩になった。マネ-ジャ-も2名入部して、新体制が動き出した頃、私は哲に言われた。
「やっぱ違うよな。」
彼が言いたいことは、すぐにわかった。お互い嫌いではなかったけど、でもカレカノでいようとするには、なんとも違和感があった。だから、最初に抱きしめられて以来、それっぽいことは全くなかった。
「そうだね。」
「でもお前と口きけなくなるのは、嫌だぜ。」
「わかってる、それは私も同じ気持ちだから。」
私が頷いて、私たちのあやふやな関係はひと月ほどで終わった。
以来、哲は変わった。いや変わってしまった。1年生からいきなり甲子園に連続出場して、明らかに天狗になってしまっていた哲。中学の頃からモテてはいたが、その頃の彼は、本当にまだ子供で男女の恋愛とかよりも、西くんたち男子とつるんでいる方が楽しそうだった。それが高校に入り、2歳上の愛菜さんに言い寄られたことで、彼は恋愛に目覚めた。少なくとも彼の方は、愛菜さんと真剣に付き合っていたのだ。
それが、愛菜さんに手酷く裏切られたことで、深い心の傷を負った哲は、女子に全く真面目に向き合おうとしなくなってしまったのだ。
2度の甲子園出場は、彼をヒーロ-に仕立て上げた。彼のおっかけみたいな女子は校内外に増える一方だった。彼を取り巻いて、彼女たちがキャ-キャ-言っているのはまだよかった。でもそれだけでは飽き足らず、彼にいろいろアタックする面々が現れるようになったのだ。
哲が誰と恋愛しようと、私が口を挟む道理はない。現に彼と愛菜さんが付き合っていた時には、それを黙って見守っているだけだった。でも今の哲は自分の周りに現れる女子たちと「キチンと」恋愛しようと言う気は、全くないようだった。それに気が付いた時、私は愕然となった。
甲子園から帰ると、まもなく新学年。入学式が済み、やがて新入生が入部して来て、私たちも先輩になった。マネ-ジャ-も2名入部して、新体制が動き出した頃、私は哲に言われた。
「やっぱ違うよな。」
彼が言いたいことは、すぐにわかった。お互い嫌いではなかったけど、でもカレカノでいようとするには、なんとも違和感があった。だから、最初に抱きしめられて以来、それっぽいことは全くなかった。
「そうだね。」
「でもお前と口きけなくなるのは、嫌だぜ。」
「わかってる、それは私も同じ気持ちだから。」
私が頷いて、私たちのあやふやな関係はひと月ほどで終わった。
以来、哲は変わった。いや変わってしまった。1年生からいきなり甲子園に連続出場して、明らかに天狗になってしまっていた哲。中学の頃からモテてはいたが、その頃の彼は、本当にまだ子供で男女の恋愛とかよりも、西くんたち男子とつるんでいる方が楽しそうだった。それが高校に入り、2歳上の愛菜さんに言い寄られたことで、彼は恋愛に目覚めた。少なくとも彼の方は、愛菜さんと真剣に付き合っていたのだ。
それが、愛菜さんに手酷く裏切られたことで、深い心の傷を負った哲は、女子に全く真面目に向き合おうとしなくなってしまったのだ。
2度の甲子園出場は、彼をヒーロ-に仕立て上げた。彼のおっかけみたいな女子は校内外に増える一方だった。彼を取り巻いて、彼女たちがキャ-キャ-言っているのはまだよかった。でもそれだけでは飽き足らず、彼にいろいろアタックする面々が現れるようになったのだ。
哲が誰と恋愛しようと、私が口を挟む道理はない。現に彼と愛菜さんが付き合っていた時には、それを黙って見守っているだけだった。でも今の哲は自分の周りに現れる女子たちと「キチンと」恋愛しようと言う気は、全くないようだった。それに気が付いた時、私は愕然となった。