With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
④
そして今、私は純ちゃんと向き合っている。
「負けちゃった。せっかく応援してもらったのに、ごめんね。」
私がそう言って、笑顔を向けると
「恵美さん・・・ごめんなさい。」
純ちゃんはいきなり私に謝って来たかと思うと、次の瞬間、その目からは涙が。
「純ちゃん・・・。」
私が驚いていると
「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」
と言うと、純ちゃんは私の胸に飛び込んで来たかと思うと、大泣きし始めた。
「ちょ、ちょっと、どうしたの?」
とにかく訳が分からず、懸命に問い掛けるけど
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
と純ちゃんは泣きじゃくるばかりで、彼女を抱きしめながらも、正直途方に暮れていた。
どのくらいそうしていたのだろう。ようやく私から離れた純ちゃんはまだ、しゃくり上げている。
「何があったの?落ち着いて話してくれる?」
純ちゃんの両肩に手を置いて、私は優しく尋ねるけど
「私の・・・せいなんです。」
「えっ?」
「昨日みなさんが負けたのは、哲さんが打たれたのは、私のせいなんです!」
純ちゃんは訴えるように言って来る。
(哲、さん・・・?)
彼女が口走ったその呼び名に、滅茶苦茶違和感を持ったけど、あえてそこにはツッコまず、私は話を促すように、純ちゃんを見る。すると
「私が余計なことを言ったばかりに、あの場面、哲さんに余計なプレッシャ-をかけちゃって・・・挙句の果てに弟さんに打たれる羽目になっちゃって・・・。」
と言った純ちゃんの目からは、また涙が・・・。一向に話が見えてこないまま、しばらく時間を費やした末に、ようやくわかったこと。それは・・・。
実は、哲はあの後も純ちゃんを口説き続けていたらしい。断っても断っても諦めない哲に、とうとう根負けした純ちゃんは
「わかりました。じゃ、もし松本先輩が今度の県大会で優勝されて、5季連続の甲子園出場を果たされた時には、私、先輩とお付き合いさせていただきます。」
と約束したと言うのだ。
「私、哲さんが私の為に、練習に集中出来ないでいるのが、とても心配で・・・。だから大会に向けて、なんとか集中して欲しくて、あんなことを・・・。私がああ言えば、少しは哲さんの励ましになるんじゃないかなんて、浅はかな考えもあって・・・。私がバカでした。変な小細工しなくたって、哲さんは自分の力で勝てたんです。なのに私が余計なことを言ったばっかりに、逆に足を引っ張ることに・・・私、哲さんに会わせる顔もありません。」
「負けちゃった。せっかく応援してもらったのに、ごめんね。」
私がそう言って、笑顔を向けると
「恵美さん・・・ごめんなさい。」
純ちゃんはいきなり私に謝って来たかと思うと、次の瞬間、その目からは涙が。
「純ちゃん・・・。」
私が驚いていると
「ごめんなさい、本当にごめんなさい!」
と言うと、純ちゃんは私の胸に飛び込んで来たかと思うと、大泣きし始めた。
「ちょ、ちょっと、どうしたの?」
とにかく訳が分からず、懸命に問い掛けるけど
「ごめんなさい、ごめんなさい・・・。」
と純ちゃんは泣きじゃくるばかりで、彼女を抱きしめながらも、正直途方に暮れていた。
どのくらいそうしていたのだろう。ようやく私から離れた純ちゃんはまだ、しゃくり上げている。
「何があったの?落ち着いて話してくれる?」
純ちゃんの両肩に手を置いて、私は優しく尋ねるけど
「私の・・・せいなんです。」
「えっ?」
「昨日みなさんが負けたのは、哲さんが打たれたのは、私のせいなんです!」
純ちゃんは訴えるように言って来る。
(哲、さん・・・?)
彼女が口走ったその呼び名に、滅茶苦茶違和感を持ったけど、あえてそこにはツッコまず、私は話を促すように、純ちゃんを見る。すると
「私が余計なことを言ったばかりに、あの場面、哲さんに余計なプレッシャ-をかけちゃって・・・挙句の果てに弟さんに打たれる羽目になっちゃって・・・。」
と言った純ちゃんの目からは、また涙が・・・。一向に話が見えてこないまま、しばらく時間を費やした末に、ようやくわかったこと。それは・・・。
実は、哲はあの後も純ちゃんを口説き続けていたらしい。断っても断っても諦めない哲に、とうとう根負けした純ちゃんは
「わかりました。じゃ、もし松本先輩が今度の県大会で優勝されて、5季連続の甲子園出場を果たされた時には、私、先輩とお付き合いさせていただきます。」
と約束したと言うのだ。
「私、哲さんが私の為に、練習に集中出来ないでいるのが、とても心配で・・・。だから大会に向けて、なんとか集中して欲しくて、あんなことを・・・。私がああ言えば、少しは哲さんの励ましになるんじゃないかなんて、浅はかな考えもあって・・・。私がバカでした。変な小細工しなくたって、哲さんは自分の力で勝てたんです。なのに私が余計なことを言ったばっかりに、逆に足を引っ張ることに・・・私、哲さんに会わせる顔もありません。」