With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
哲と純ちゃんは無事、心を通じ合わせたと、あれから純ちゃんから報告を受けた。私のせいでと、ひたすら謝る彼女に対し


「お前のせいじゃない。お前の励ましが力にこそなれ、邪魔になったなんてあり得ない。俺は全力を尽くして、そして弟に打たれたんだ。滅茶苦茶悔しいけど、でも悔いはないよ。」


哲は優しい表情で答えたけど、すぐに


「でも俺は純子との約束を守れなかった。だから・・・。」


と表情を曇らせる。


「ううん、そんなの関係ありません。私、好きでもない人に、名前で呼び捨てになんかされたくありません。」


「純子・・・。」


「哲さんが好きです。今まで先輩って呼んでましたけど、心の中では、とっくにあなたのことを哲さんって呼んでたんです。素直になれなくて、ごめんなさい。どうか私を、哲さんの彼女にして下さい。」


そう言って、自分を見上げる純ちゃんを、哲は躊躇うことなく抱き寄せる。


「純子、これから何があっても、俺がお前を守るから。だから、俺の彼女だって、胸張って、横に居てくれよな。」


「はい。」


そして2人は、唇を重ね合った・・・そうな。周りに人影がなかったとは言え、学校でよくやるよね・・・って言っちゃ悪いかな?


「でもさ。」


「うん?」


「あんた、純ちゃんにプロポ-ズしたんだって?」


「えっ、それ、誰に聞いたんだ?」


「そんなの、純ちゃん以外の誰から聞くのよ?」


「あいつ、そんなことまで、お前に話したのかよ。」


哲が顔を真っ赤にする。


実は1つ疑問があった。あれだけ哲を拒んでいた純ちゃんが、根負けしたのもあったのかもしれないけど、なんでとうとう落ちたのか?理由を聞いた私に


『哲さんにプロポ-ズされたんです。』


「えっ?」


『「俺は真剣に、お前のことを考えてる。だから結婚を前提に付き合って欲しい。俺はこの秋のドラフトで指名されて、プロ野球選手になる。そして3年以内に結果を出すから、それまで俺を信じて待っててほしい。」って。私のこと、真剣に思って下さってるんだっていうことが伝わってきて、嬉しかったんです。』


「・・・。」


私は呆れて言葉を失った。
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