With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
「まだ高校生のくせに、結婚を持ち出す方も、それを真に受けて頷く方も、どうかしてるんじゃない?」


「女と真剣に向き合えって言ったのはお前だろ。」


「そりゃそうだけど、でもさ・・・。真剣に向き合うイコ-ル結婚って短絡的過ぎない?高校生として、もっと現実的な話を・・・。」


と尚も言い募ろうとしたけど、ふと本人たちがそれでいいなら、それを私がとやかく言う必要なんてないよな、と思い直して


「ま、とにもかくにもよかったじゃない。私が言うまでもないけど、純ちゃん、本当にいい子だから、大切にしてあげなよ。わざわざ報告ありがとう、じゃ、お幸せに~。」


話を打ち切って、立ち去ろうとすると


「ちょっと待てよ。まだ話は済んでない。」


哲が引き留めてくる。


「えっ、まだ何かあるの?」


「ああ。今度さ、一緒に西に会いに行かないか?」


「えっ、西くんに?」


これまた思わぬ提案に、私が目を丸くしていると


「アイツを改めて激励してやりたいし、それに・・・謝りたいこともあるから。」


哲は殊勝な表情で言う。


「謝りたいこと?」


「3年前、酷いこと言っちまったの、ちゃんとまだ謝ってないし、あんなこと俺が言っちまった為に、お前たちを・・・離れ離れにしちまったからな。」


バツ悪そうに言う哲のその言葉に、私は思わず固まる。


「恵美は本当はアイツと一緒の高校に行きたかったんだろ?」


「哲・・・。」


「悪いことをしたなって、ずっと思ってたんだ。」


「なんでわかったの?私、西くんのこと、誰にも話したことなんて・・・。」


「そんなのわかるよ。あんなに西と同じ学校に行けなくなったことに、あからさまにがっかりされれば。」


「私、そんなに分かり易かった?」


「ああ。だいたいお前、俺に対する態度と西に対する態度、全然違っただろう。俺のことは呼び捨て、西のことはくん付けって、分かり易す過ぎだろうよ。」


(そっか・・・。)


今更ながら、納得するしかない。


「でも、あの時はもう、俺にはどうしてやることも出来なくて、それにマネ-ジャ-としてのお前と一緒にやりたかったのは、本当だったから、結局、知らん顔してるしかなかったんだ。」


「・・・。」
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