With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
その後、今度は西キャプテンが私にマネ-ジャ-業務についての話をしてくれた。


「すみません、練習の途中に。それにこんなレジメみたいなものまで、用意していただいて。」


わざわざ、内容をまとめた紙まで用意してくれていたキャプテンに、私は恐縮する。


「いや、俺もこの方が伝えやすいから。1日の流れと、主な仕事の内容は、これを見てもらえればわかると思うし、わからないことがあったら、その都度、遠慮なく聞いて欲しい。」


「はい、ありがとうございます。」


「お前が慣れるまでは、俺達もファロ-するからな。」


「よろしくお願いします。」


私は、そう言って頭を下げた後、キャプテンにもらった用紙にざっと目を通す。


「監督からも話があったと思うが、結構忙しいし、それに力仕事も多いぞ。」


「覚悟は出来てます。」


私は頷く。


「マネ-ジャ-は俺達選手の為に、裏方的な仕事を、嫌がらずにこなすことが求められる。はっきり言って、縁の下の力持ちという存在だ。派手でもなければ、その成果も目に見えないことの方が圧倒的に多い。」


「はい。」


「俺達も分担だが、その業務を1年半やってみて、その辛さ、大変さは実感した。そして、俺達選手が練習に没頭出来るのは、そんなマネ-ジャ-がいてくれたからだって、身にしみてわかったよ。」


「キャプテン・・・。」


「それに・・・俺達にとって、身近で俺達を支え、応援してくれる女子マネの存在って、やっぱり大きかったんだなってことも実感した。」


「えっ?」


「その子が自分の彼女だとか、自分に気があるとか、そんなのは関係ない。その子がグラウンドで、ベンチで自分を見守り、応援してくれてる。それって俺達選手の励みになるんだ。男にとって、女子の存在、女子の声援って、理屈抜きにやっぱり力になるんだよ。」


突然、キャプテンがそんなことを言いだすから、私はびっくりする。


「こんなこといきなり言い出して、引かれるかもしれんが、お前にいいとこ見せたくて、頑張るっていう動機を不純と取ることも出来るかもしれないけど、それって俺は真理だと思うぜ。それに・・・。」


ここで一瞬、言葉を切ったキャプテンは


「それは木本にとっても、自分をいろんな意味で高めることにが繫がると思うぜ、きっと。」


グラウンドにいる松本くんや白鳥くん、それに久保くんに視線を送りながら、そんなことを言ったキャプテンは、言葉を失っている私に、いたずらっぽく笑って見せた。
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