With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
練習が終わり、後片付けも終わると、辺りはもう真っ暗。あれだけ居たギャラリーもいつの間にか、グラウンド周辺から姿を消していた。


監督から、簡単な締めの言葉があって、今日はこのまま解散。


「どうだった、初日の感想は?」


すると、河井先輩が私に声を掛けてくれる。


「はい、いろいろ教えていただいて、本当に助かりました。ありがとうございました。」


そう言って、私が頭を下げると


「みどりちゃんは覚えがいいし、フットワークもいいし、きっといいマネ-ジャ-になれる。期待してるからな。」


「はい。」


「じゃ、お先に。」


「お疲れさまでした。」


そんなことを言って、河井先輩は私から離れて行く。


他の部員達も、挨拶を交わしながら、三々五々グラウンドから出て行く。そして、気が付くと私と松本くんと久保くん、1年生3人だけになっていた。


「お疲れ。」


「お疲れ。松本くんってサ-ドなんだね。」


声を掛けてくれた松本くんに、私がそう言うと


「うん。兄さんの影響でね。」


「お兄さんの?松本くん、お兄さんがいるんだ。」


「うん、だいぶ年が離れてるんだけど。うちの学校のOBで、やっぱりサ-ドやってたんだ。」


「そう、なんだ・・・。」


その松本くんの言葉に、私が内心ハッとしていると


「さぁ帰ろうよ。グズグズしてると部室、鍵かけられちゃうよ。」


と久保くん。


「そ、そうだね。じゃ行こう。」


私達も急いで、グラウンドを出た。
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