With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
部室に寄って、荷物を取って、そのまま更衣室に。


「みどり、お疲れ。どうだった、マネ-ジャ-デビューは?」


「あっ、おスミ。」


部活が終わって、着替えていた澄恵とバッタリ。


「うん、先輩はみんな親切で優しくて。いろいろ教えてもらったよ。」


「そりゃ、男所帯にみどりみたいな子が、飛び込んでいけば、チヤホヤされるでしょ。」


「チヤホヤとは違うよ。でも楽しかった、いよいよ始まったって感じで。」


「そっか。初日で幻滅して、やっぱりソフトやるって言い出さないかと、密かに期待にしてたんだけどな。」


「とんでもない。もうやる気、いきなりMAXなんだから。」


冗談めかした澄恵の言葉に、私は笑顔で答える。


「そう言えば、ウチのクラスの王子様は、どんな様子?」


「王子様?」


「白鳥徹だよ。」


「あっ・・・。」


澄恵はA組で白鳥くんと同じクラス。白鳥くんの名前が出た途端に、私のテンションは下がってしまう。


「何、どうかしたの?」


「う、うん・・・。」


私は先輩達が、みんな気さくに接してくれるのに、白鳥くんだけが素っ気なく、挨拶もまともに返してくれなかったこと、それに白鳥くんに近づいた時の、ギャラリー女子からの視線や反応が厳しく、冷たくて正直凹んだことを話した。


「なるほどね。」


その私の言葉に、さもありなんという感じで澄恵が頷いた。


「アイツ、クラスでもそんな感じだよ。まぁイケメンで野球が上手くて、その上どこだかの会社の御曹司ときたら、そりゃモテまくって、態度もデカくなるでしょ。私はあんな奴のどこがいいのかと思うけどさ。」


「・・・。」


「まぁ、気にしないことだよ。どうせ見てくれだけで、中身のない男なんだからさ。」


「ううん、白鳥くんは少なくともピッチャ-としては、やっぱり凄いよ。今だって3年生のエ-スの人より速い球投げてるんだから。」


「でも人間としてはダメなんだから、そんな奴、スポ-ツマンとしても終わってるよ。そんな奴にのぼせてキャ-キャ-言ってる連中なんて、相手にしなけりゃいいの。それに、どうしても我慢できなかったら、我がソフトボ-ル部がいつでも大歓迎いたしますから。」


「おスミ・・・ありがとう。」


おスミの励ましが嬉しかった。
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