With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
今の私の1つの悩みは、クラスの女子の輪に、どうやら入りそびれてしまったこと。入学当初から、久保くんと行動を共にし、更に野球部繫がりで松本くんや白鳥くん達男子とばかり、話している私は、女子から見るとちょっと異質に見えるようで、なにか一線を引かれてしまったのは、正直想定外だった。


おスミはいるけど、クラスが違うから普段はあまり話せないし、彼女も男っぽい・・・とまでは言わないけど、でもボ-イッシュでサバサバしてるから、遠目からは男子に見えなくもない・・・かも。


部活は、まだお試し期間だから、私のようの既にどっぷり時間を取られている子は、少ないみたいで、放課後遊びに行ったりして、交流をみんな深めているみたい。


マネ-ジャ-になったら、そういうことは、ほとんどできないぞ。監督にそう言われたのを思い出す。


男子の仲間が出来たのは、嬉しいけど、でも同性の友達が出来ないのは、やっぱり寂しい。まだ高校生活は始まったばかりなんだから、もちろんそれを諦めるつもりはない。自分からみんなの輪に飛び込んで行かないとな。


でも結局、今日もその機会と言うか勇気がなく、なにも起こらないまま、放課後に。今日はこのあと、どこに行こうかなんて、キャッキャッと盛り上がっているクラスメイトを横目に、私は部活に向かう。


更衣室で着替え、練習の準備に急ぐ。まずは、ポリタンクの準備、氷とスポドリをタンクに入れ、それを4つ、所定の位置に置かなくてはならない。当たり前だけど、手は2本しかないから、まずは2つを持って、グラウンドに向かおうとすると


「重そうだな。」


と声が掛かった。その声の方を見ると、見知らぬ男子が。


「一緒に持ってってやろうか。」


なんて言って、近づいて来るから、なんとなく警戒していると


「そんな胡散臭そうだなって顔すんなよ。俺、一応入部希望者なんだけど。」


「えっ?」


そう言った彼を改めて見ると、制服をだらしなく着ていて、とてもスポ-ツマンとは思えず、あまり好感の持てないタイプとお見受けして、私は言葉を発せないでいると


「俺、D組の大宮康浩(おおみややすひろ)。一応野球経験者。」


「・・・。」


「野球なんて、かったるいから、もう辞めようと思ってたけど、あんたみたいな可愛くて、きれいなマネージャーとお近づきになれるなら、まぁ悪くねぇかなと思ってな。」


そんなことを言って、ニヤッと笑うこの男に、ますます好感が持てなくて、更に黙っていると


「ということで、行こうぜ。今日からよろしくな、みどり。」


えっ・・・こいつ、今、私のこと、名前で呼び捨てにした。なんでこんな奴に呼び捨てにされなきゃいけないの?抗議しようとする私を尻目に、大宮康浩は残りのポリタンクを持って、サッサと歩き出す。遅れるわけにはいかないから、仕方なく私も、ふくれっ面で後に続いた。
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