With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
グラウンドに着くと、既に来ていた石原監督と西キャプテンが、入って来た彼を見て驚いているから


「入部希望だそうです。」


と伝えると、ますます驚く。


「D組の大宮康浩です。よろしくお願いします。」


すると、大宮くんは、さっきの態度とは一転、直立で2人に挨拶して、一礼する。


「野球は、やってたのか?」


という監督の問いに


「はい、小学校4年からずっと。ポシションはセンタ-です。」


そうか、大宮くんは外野手か・・・。


「わかった。やる気があるなら、こちらは来る者は拒まず、と言いたいが、俺は精神論はあまり好きではないが、そんな制服の着方をする奴と一緒にはやりたくない。直せるか?」


「はい、わかりました。」


意外にも、素直に頷く大宮くん。


「よし。その返事の確認は木本に任せる。」


「はい。」


「じゃ、今日は見学していけ。明日から・・・。」


と言いかけた監督を遮るように


「ジャ-ジでよければ準備してます。今日からお願いします。」


という大宮くん。あれ、結構やる気あるじゃんって、少し見直すと


「そうか、ならやっていけ。木本、ユニホ-ム用意してやれ。」


監督も嬉しそうに、私に指示して来る。


「はい。じゃ、一緒に来て。」


私も初めて、こちらから大宮くんに声を掛けて、2人でグラウンドを離れる。


「見るからにチャラそうな奴ですが、アイツ丸刈り受け入れられるんですかね?」


「大丈夫だろ?そうじゃなきゃ、入部して来んだろう。」


心配そうなキャプテンに、監督が、そう言って笑ってたことには、当然2人とも気付いてはいなかった。
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