With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
かくして、試合中はベンチでスコアラーに専念出来ることになった私。


(いよいよだ。)


練習試合とは言え、初の実戦。私にとってはデビュー戦、ワクワク感も緊張もある。


ちなみにスコアの記入方法は、独特な記号とかを使うので、覚えなければならないんだけど、マネージャーを目指していたので、それは勉強した。


とにかく、自チームだけでなく、相手校のスコアも一球残らず記入しなくてはならないから、ボンヤリお客様気分で、試合を眺めているわけには、いかない。


こちらの先発ピッチャーは、当然エースの星さん。その後は2番手投手の2年生関口次郎(せきぐちじろう)さんが投げる予定で、注目の白鳥くんは、今日のデビューはなさそう。


白鳥くんに限らず、1年生は基本的には今日は出場はない予定。


「ミッチャンだけが、今日デビューだね、頑張れ。」


と久保くんに応援された。


桜ヶ丘高の先発ピッチャーのエースさんは、先の選抜甲子園大会でも勝利を挙げている。


そして今日も、キレのあるボールを投げ、ウチのバッターを寄せ付けない。


「やっぱり、いいボール投げるなぁ。」


スコアをつけている私の横に、そう言いながら、松本くんが腰を掛ける。


「ボール、速いもんね。」


「コントロールもいいよ。」


そんな会話を交わしていると


「確かにそうだが、しかしあのピッチャーに手こずってるようじゃ、アイツの球は絶対打てない。違うか?」


とキャプテンが松本くんに声を掛ける。


「そう、ですね・・・。」


少し躊躇ったように答えた松本くんの横で


(アイツ・・・?)


私は思わず、心の中で呟いていた。


結局、相手のエースは、3回をパーフェクトで抑えると、そのまま降板。残念ながら、今回の対決では、相手校の方が格上であることは否めず、こんな調整登板みたいな形をとられてしまうのも、仕方ないところだ。


だけど、その後登板した、相手の2番手ピッチャーもなかなか。星さんも好投を続け、試合は0-0のまま、推移して行った。
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