With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
GWの試合に続いて、今回の東海戦も敗れ、なかなか軌道に乗らないチ-ム状況だが


「今は問題点がどんどん出てくればいい、そしてそれを改善するために練習に励む。その為の練習試合だ。」


石原監督は、そう言って前を向いている。本当に平日は練習、週末は練習試合、休む間もない。練習試合も県内の高校とだけやるわけではない、相手を求めて他都県への遠征もある。一部の有名校、有力校になると、いわゆる招待試合で優雅にお泊りなんてこともあるらしいけど、私達の高校には無縁の話。


遠征の時は、朝練顔負けの時間に集合して、バスで出発。試合をこなして、日帰り。それでも次の日は朝から練習か、普通に学校がある。


(さすがに厳しいな・・・。)


覚悟はしていたつもりだったけど、予想以上のハードなスケジュ-ルにさすがに私も正直、グロッキ-気味。


「ミッチャン、大丈夫?」


ある日の登校時、久保くんが心配そうに声を掛けてくれた。


「うん・・・きついけど、私が音を上げてちゃ、選手のみんなに申し訳ないよね。」


「そんなことないさ。僕なんて、あんまり試合にも出てないくせに、もうヘロヘロだもん。お恥ずかしいよ。」


「そっか・・・そういえば、大会の前に、確か期末試験があったよね?」


「えっ?聞こえないな・・・。」


「そう言いたくなるよねぇ・・・とにかくお互い大変だけど、頑張ろうよ。」


「そうだね。」


なんて慰め合いだか励まし合いをしながら、登校する。そんな日々を過ごしながら、でも夏の県大会は着実に近づいて来ている。


初戦の東海戦のメンバ-を見た時は、監督の中では、もうレギュラ-はある程度固まってるのかなって、気がしたんだけど、その後の試合では星副キャプテンと西キャプテンのバッテリー以外は、スタメンは結構入れ替わっている。


(いろんな選手にチャンスを与えて、レギュラーを選んでるんだな。)


それは私にも伝わって来る。


東海高戦の翌週の試合で、新チームになって、待望の初勝利を挙げた。さすがにホッとしたし、選手達も喜んでたけど、監督はほとんど表情を変えることはなかった。


それ以降の練習試合も勝ったり負けたりだったけど、監督は結果に一喜一憂することなく、チームと選手の現状の力を冷静に見極めているようだった。
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