With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
「アイツの、松本哲の凄さはよくわかっている。中学3年間、アイツの球を受けて来たのは他でもない、この俺だからな。」
その言葉に、私はハッとする。そう言えば、キャプテンと松本くんは同中だと前に聞いた。ということは、松本くんのお兄さんである哲投手とキャプテンも同中であって、なんの不思議もないことになる。
「とにかく松本は・・・中学レベルでは抜けていた。将来を見据えて、当時の監督はアイツに変化球を練習でも投げさせなかった。この子は、将来必ず日本の野球界を背負って立つピッチャ-になる。だから今、無理をさせるわけにはいかないって言って。だから相手は松本がストレ-トしか投げて来ないとわかっていた、にも関わらず、試合でまともにアイツの球を打ち返した奴はほとんどいなかった。」
「・・・。」
「そんなアイツには当然のことながら、県内の有力高校野球部からのスカウトが殺到した。引く手あまたの状況の中、アイツは御崎高を選んだ。なんでだと思う?」
「わかりません・・・。」
「御崎高がな、アイツとセットで当時バッテリ-を組んでいたキャッチャ-も引き受けてくれると言ったからだ。」
そう言って、複雑そうな表情を浮かべるキャプテンを、私は思わず見た。
「じゃ、キャプテンは本当は松本哲さんと一緒に御崎高に進学するはずだったんですか?」
「ああ。」
「でも・・・実際にはキャプテンは明協に進んだ。どうしてですか?」
当然の問いを発する私。
「ケンカしちまったんだよ、アイツと。」
「えっ?」
「きっかけはよく覚えてないんだが、なんか言い合いになって、アイツが『キャッチャ-なんか誰だろうと俺には関係ない。ただ黙って俺のボールを受けてれば甲子園だろうとプロ野球だろうと一緒に連れてってやる。』と言い放たれて、カチンと来てな。『そうか、じゃやれるもんならやってみろ。』って言い返して、親や先生が止めるのも聞かずに、御崎高に入学辞退を申し出たんだ。」
「キャプテン・・・。」
「短気は損気っていうの本当だな。あの時、腹の虫を抑えていれば、俺も今頃はきっと何度も甲子園行けてたんだろう。」
そう言って、苦笑いを浮かべているキャプテンを、私は言葉もなく見つめていた。
その言葉に、私はハッとする。そう言えば、キャプテンと松本くんは同中だと前に聞いた。ということは、松本くんのお兄さんである哲投手とキャプテンも同中であって、なんの不思議もないことになる。
「とにかく松本は・・・中学レベルでは抜けていた。将来を見据えて、当時の監督はアイツに変化球を練習でも投げさせなかった。この子は、将来必ず日本の野球界を背負って立つピッチャ-になる。だから今、無理をさせるわけにはいかないって言って。だから相手は松本がストレ-トしか投げて来ないとわかっていた、にも関わらず、試合でまともにアイツの球を打ち返した奴はほとんどいなかった。」
「・・・。」
「そんなアイツには当然のことながら、県内の有力高校野球部からのスカウトが殺到した。引く手あまたの状況の中、アイツは御崎高を選んだ。なんでだと思う?」
「わかりません・・・。」
「御崎高がな、アイツとセットで当時バッテリ-を組んでいたキャッチャ-も引き受けてくれると言ったからだ。」
そう言って、複雑そうな表情を浮かべるキャプテンを、私は思わず見た。
「じゃ、キャプテンは本当は松本哲さんと一緒に御崎高に進学するはずだったんですか?」
「ああ。」
「でも・・・実際にはキャプテンは明協に進んだ。どうしてですか?」
当然の問いを発する私。
「ケンカしちまったんだよ、アイツと。」
「えっ?」
「きっかけはよく覚えてないんだが、なんか言い合いになって、アイツが『キャッチャ-なんか誰だろうと俺には関係ない。ただ黙って俺のボールを受けてれば甲子園だろうとプロ野球だろうと一緒に連れてってやる。』と言い放たれて、カチンと来てな。『そうか、じゃやれるもんならやってみろ。』って言い返して、親や先生が止めるのも聞かずに、御崎高に入学辞退を申し出たんだ。」
「キャプテン・・・。」
「短気は損気っていうの本当だな。あの時、腹の虫を抑えていれば、俺も今頃はきっと何度も甲子園行けてたんだろう。」
そう言って、苦笑いを浮かべているキャプテンを、私は言葉もなく見つめていた。