With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
⑫
鬱陶しい梅雨空に邪魔されながら、でも私達のチ-ムは練習を重ねて行った。そして迎えたこの日、我が校グラウンドで行われる練習試合が大会前の最後の実戦となる。これが終わると、私達は期末試験の為の部活休止期間に入り、それが明ければ、もう大会開幕だ。
この日の相手校は、東京から遠征して来た質実剛健をモット-としている男子高。当然マネ-ジャ-も男子で
「女子が全くいなくて、男子だけって、やっぱりちょっと異様な光景だね。」
この日もウグイス嬢の応援に来てくれた美怜がそんなことを言って来る。
「うん。でも私は初めてだけど、減ってるとは言え、男子高って別に珍しくないし、共学の学校でも女子マネを募集してない学校もあるからね。」
とは答えたけど、正直なことを言えば、いつもとは少し勝手が違う。それでも相手と打ち合わせを済ませて、戻って来ると
「おかえり。こっちはだいたい準備OKだよ。」
と久保くんが声を掛けて来る。
「ありがとう。いつもごめんね。」
「大丈夫だよ。じゃ、僕はスコアボ-ドの方にいるから。」
「よろしく。」
だいぶマネ-ジャ-業が板について来たと、我ながら思ってはいるけど、ひとりマネ-ジャ-という状況に変化はなく、特にホスト校での練習試合の時は、かなり厳しい。そんな私を見かねてか、このところ久保くんがサブマネ-ジャ-のような役割を買って出てくれている。
他の1年生と違い、まだほとんど試合に出ていない状況とは言え、正直申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが
「気にしないでよ、そんなこと。試合に出てない僕が、マネ-ジャ-のヘルプをするなんて当たり前なんだから。」
と意に介さない。そんな久保くんの後ろ姿を見送っていると
「すっかりマネ-ジャ-が板についちまった感じだな。」
「アイツにはそれがお似合いだよ。」
「いつも木本に金魚のフンみたいにくっついて歩いてるんだから、本望なんじゃねぇの?」
コソコソと陰口を叩く先輩の声が耳に入って来る。
(久保くんは優秀な選手なんだよ。今はまだ準備が整わないだけじゃない。)
私は思わずカッとなって、その先輩達の方を振り向いて、一歩踏み出しかけたけど、後ろからグッと肩を抑えられる。ハッとして振り向くと、松本くんが黙って一回左右に首を振った。少し見つめ合った私たちだったけど、私がコクンと1つ頷くと、松本くんは笑顔を残して離れて行った。
この日の相手校は、東京から遠征して来た質実剛健をモット-としている男子高。当然マネ-ジャ-も男子で
「女子が全くいなくて、男子だけって、やっぱりちょっと異様な光景だね。」
この日もウグイス嬢の応援に来てくれた美怜がそんなことを言って来る。
「うん。でも私は初めてだけど、減ってるとは言え、男子高って別に珍しくないし、共学の学校でも女子マネを募集してない学校もあるからね。」
とは答えたけど、正直なことを言えば、いつもとは少し勝手が違う。それでも相手と打ち合わせを済ませて、戻って来ると
「おかえり。こっちはだいたい準備OKだよ。」
と久保くんが声を掛けて来る。
「ありがとう。いつもごめんね。」
「大丈夫だよ。じゃ、僕はスコアボ-ドの方にいるから。」
「よろしく。」
だいぶマネ-ジャ-業が板について来たと、我ながら思ってはいるけど、ひとりマネ-ジャ-という状況に変化はなく、特にホスト校での練習試合の時は、かなり厳しい。そんな私を見かねてか、このところ久保くんがサブマネ-ジャ-のような役割を買って出てくれている。
他の1年生と違い、まだほとんど試合に出ていない状況とは言え、正直申し訳ない気持ちでいっぱいなのだが
「気にしないでよ、そんなこと。試合に出てない僕が、マネ-ジャ-のヘルプをするなんて当たり前なんだから。」
と意に介さない。そんな久保くんの後ろ姿を見送っていると
「すっかりマネ-ジャ-が板についちまった感じだな。」
「アイツにはそれがお似合いだよ。」
「いつも木本に金魚のフンみたいにくっついて歩いてるんだから、本望なんじゃねぇの?」
コソコソと陰口を叩く先輩の声が耳に入って来る。
(久保くんは優秀な選手なんだよ。今はまだ準備が整わないだけじゃない。)
私は思わずカッとなって、その先輩達の方を振り向いて、一歩踏み出しかけたけど、後ろからグッと肩を抑えられる。ハッとして振り向くと、松本くんが黙って一回左右に首を振った。少し見つめ合った私たちだったけど、私がコクンと1つ頷くと、松本くんは笑顔を残して離れて行った。