With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
試合が始まった。これまでの練習試合、ずっと先発ピッチャ-は星さんだったけど、今日はついに白鳥くんが先発のマウンドに立った。今日もビッシリと詰めかけている徹フリ-クから大歓声が上がったのは言うまでもないけど、驚きだったのは監督から不動のレギュラ-と言われていたはずの西キャプテンが、この日はなんとファーストのポジションにつき、先発のキャッチャ-には2年生の村井誠さんが起用されたことだ。
私がこのメンバ-を発表すると、当然みんなも驚いていたけど、キャプテンは
「よし、じゃ行くぞ。」
といつもと変わらぬ様子でナインに声を掛けると、グラウンドに飛び出して行った。
「キャプテンってファーストも出来るんだ・・・。」
私が独り言ちていると
「ファーストだけじゃない。中学の頃は外野も守っていたよ。」
またいつの間にか横にいた松本くんが教えてくれる。
「そうなんだ、凄いね。」
感心すると
「キャプテンは・・・凄い選手だよ。」
松本くんはグラウンドに目を向けたまま言った。
プレイボ-ルが掛かり、白鳥くんが目の覚めるような快速球を村井さんのミットに投げ込んで、またまた大歓声にグラウンドが包まれ、試合が始まった。
この日は星さんはライト、佐藤くんがレフトに回って、センタ-は当たり前のように大宮くん。私は松本くんと並んで座って、試合の進行を見守った。
この日も白鳥くんは快調。初先発の緊張感も全くなく、目の覚めるような快速球をビシビシと投げ込んで、相手打線を寄せ付けない。先頭バッタ-から三振、三振、三振・・・バットにほとんど当てさせない。私はスコアブックに三振を示す「K」のマークを着々と書き込んで行く。
「凄いな。」
特に私に何か言うでもなく、黙ってグラウンドを見つめていた松本くんがぽつんと口を開いた。
「アイツなら、兄貴と五分に渡り合えるかもしれない。」
「そうだと嬉しいな。」
そんな会話を交わしていると、初めて相手の打者が白鳥くんのボ-ルを打ち返した。といっても平凡なレフトフライ。これなら問題ないと私がスコアブックに目を落とした次の瞬間、女子の悲鳴が聞こえて来た、ハッと顔を上げると、完全に捕球体制に入っていたはずの佐藤くんの横でボールが点々と・・・。
「落としたの?」
「グラブに当てて落としてしまった。」
「そんな・・・。」
守備の上手い佐藤くんらしからぬミス。
「なに、あのレフト。」
「信じらんない。」
徹フリ-クからブーイングの声が上がる。
私がこのメンバ-を発表すると、当然みんなも驚いていたけど、キャプテンは
「よし、じゃ行くぞ。」
といつもと変わらぬ様子でナインに声を掛けると、グラウンドに飛び出して行った。
「キャプテンってファーストも出来るんだ・・・。」
私が独り言ちていると
「ファーストだけじゃない。中学の頃は外野も守っていたよ。」
またいつの間にか横にいた松本くんが教えてくれる。
「そうなんだ、凄いね。」
感心すると
「キャプテンは・・・凄い選手だよ。」
松本くんはグラウンドに目を向けたまま言った。
プレイボ-ルが掛かり、白鳥くんが目の覚めるような快速球を村井さんのミットに投げ込んで、またまた大歓声にグラウンドが包まれ、試合が始まった。
この日は星さんはライト、佐藤くんがレフトに回って、センタ-は当たり前のように大宮くん。私は松本くんと並んで座って、試合の進行を見守った。
この日も白鳥くんは快調。初先発の緊張感も全くなく、目の覚めるような快速球をビシビシと投げ込んで、相手打線を寄せ付けない。先頭バッタ-から三振、三振、三振・・・バットにほとんど当てさせない。私はスコアブックに三振を示す「K」のマークを着々と書き込んで行く。
「凄いな。」
特に私に何か言うでもなく、黙ってグラウンドを見つめていた松本くんがぽつんと口を開いた。
「アイツなら、兄貴と五分に渡り合えるかもしれない。」
「そうだと嬉しいな。」
そんな会話を交わしていると、初めて相手の打者が白鳥くんのボ-ルを打ち返した。といっても平凡なレフトフライ。これなら問題ないと私がスコアブックに目を落とした次の瞬間、女子の悲鳴が聞こえて来た、ハッと顔を上げると、完全に捕球体制に入っていたはずの佐藤くんの横でボールが点々と・・・。
「落としたの?」
「グラブに当てて落としてしまった。」
「そんな・・・。」
守備の上手い佐藤くんらしからぬミス。
「なに、あのレフト。」
「信じらんない。」
徹フリ-クからブーイングの声が上がる。