With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
帰り道、私たちは、学校からほど近いファミレスに入った。電車組3、自転車・徒歩組3と帰宅手段が半々の私たちは、通常は校門で左右に別れる。でもお互いの距離がだんだん近くなって、今や「1年生6人衆」と先輩達から一括りで呼ばれるようにもなった私たちは、練習帰りにこうして近くのファミレスやコンビニなどで、一緒の時間を過ごす機会も増えていた。
今日の試合の反省会との名目で入ったはずなんだけど、本当はただお腹が空いただけの私たちは、野球の話そっちのけで、注文した料理を口に運ぶ。この時ばかりは、自他とも認める「野球バカ」の佐藤くんですら、ただの食欲の権化と化している。
そして、やっと人心地ついた彼が口にしたのが
「でもさぁ、甲子園を目指す為の大事な大会の直前で、部活休止っておかしくないか?」
だった。
「そう言いたくなる気持ちはわかるけど、学校は野球部を中心に回ってるわけじゃないからな。」
と白鳥くん。
「そりゃそうだけどさ、でもなんか時間を無駄にさせられてる気がする。今こそバリバリ練習しなきゃならない時だろ。」
「それって単に試験から逃げたいだけじゃないの?」
「お前、それを言っちゃ、おしまいだろ。」
私のツッコミに、佐藤くんが唇を尖らせて、笑いが起きる。
「だけど、ウチの学校は試験が多すぎないか?だって入学早々の学力診断から始まって、中間、期末と入学してから3か月で3回だぜ。」
「確か夏休み明けにもすぐまた学力診断があって、当然中間、期末って・・・。なんか毎月ある感じじゃん。」
「うんざりだなぁ。」
「その点、木本さんはいいよなぁ。」
松本くんがそんなことを言って、私の顔を見て来るから
「別に私だって、試験が好きでも楽しみでもないよ。」
と答えると
「そりゃそうか・・・。」
松本くんは頷く。
「仕方ないよ、学生の本分は勉強なんだから。今夜から気持ちを切り替えて、机に向かうしかない。」
久保くんがみんなを励ますように言うけど
「お前に俺達のこの憂鬱な気分は絶対にわかんねぇ。だいたい野球部員のくせに成績いいなんて、反則だろ。」
佐藤くんが悪態をつくから
「そんなことないよ。今は甲子園に出場するような選手の中にも文武両道の人が増えてるそうだし、ウチでもキャプテンや村井さんは学年でも上位の成績じゃない。」
私がたしなめる。
「そっか・・・俺みたいな野球バカは時代遅れってことか。」
佐藤くんはあからさまに落ち込んで、ため息をついた。
今日の試合の反省会との名目で入ったはずなんだけど、本当はただお腹が空いただけの私たちは、野球の話そっちのけで、注文した料理を口に運ぶ。この時ばかりは、自他とも認める「野球バカ」の佐藤くんですら、ただの食欲の権化と化している。
そして、やっと人心地ついた彼が口にしたのが
「でもさぁ、甲子園を目指す為の大事な大会の直前で、部活休止っておかしくないか?」
だった。
「そう言いたくなる気持ちはわかるけど、学校は野球部を中心に回ってるわけじゃないからな。」
と白鳥くん。
「そりゃそうだけどさ、でもなんか時間を無駄にさせられてる気がする。今こそバリバリ練習しなきゃならない時だろ。」
「それって単に試験から逃げたいだけじゃないの?」
「お前、それを言っちゃ、おしまいだろ。」
私のツッコミに、佐藤くんが唇を尖らせて、笑いが起きる。
「だけど、ウチの学校は試験が多すぎないか?だって入学早々の学力診断から始まって、中間、期末と入学してから3か月で3回だぜ。」
「確か夏休み明けにもすぐまた学力診断があって、当然中間、期末って・・・。なんか毎月ある感じじゃん。」
「うんざりだなぁ。」
「その点、木本さんはいいよなぁ。」
松本くんがそんなことを言って、私の顔を見て来るから
「別に私だって、試験が好きでも楽しみでもないよ。」
と答えると
「そりゃそうか・・・。」
松本くんは頷く。
「仕方ないよ、学生の本分は勉強なんだから。今夜から気持ちを切り替えて、机に向かうしかない。」
久保くんがみんなを励ますように言うけど
「お前に俺達のこの憂鬱な気分は絶対にわかんねぇ。だいたい野球部員のくせに成績いいなんて、反則だろ。」
佐藤くんが悪態をつくから
「そんなことないよ。今は甲子園に出場するような選手の中にも文武両道の人が増えてるそうだし、ウチでもキャプテンや村井さんは学年でも上位の成績じゃない。」
私がたしなめる。
「そっか・・・俺みたいな野球バカは時代遅れってことか。」
佐藤くんはあからさまに落ち込んで、ため息をついた。