With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
私たちが恐縮しながら降りると
「では、ごゆっくり。」
そう言って頭を下げて、椎名さんは走り去って行く。ドラマかなにかでしか見たことのない豪邸の前に取り残されたかのような形になって、茫然としていると
「入ろう。」
白鳥くんは何事もなかったかのように歩き出す。私たちはおずおずと付いて行くしかなかった。
「ただいま。」
玄関のドアを開いて、白鳥くんが中に声を掛けると、ずらりとお出迎えの人々が・・・なんてことはなかったけど、彼の後ろ姿越しに広がるのは、装飾品に彩られた豪華絢爛な光景。
「まさしくドラマの世界だ・・・。」
「うん・・・。」
思わず、隣の久保くんとそんなことを言い合っていると
「あら、みなさんいらっしゃい。」
と言いながら現れた女性。お姉さん?・・・って思っていると
「ただいま、母さん。友達、連れて来た。」
えっ、お母さん・・・?あまりにも若くて、お美しい姿に私たちは目を見張る。
「みなさん、ようこそ。今日はウチの息子に勉強を教えてもらえるそうで、助かります。さぁ、どうぞ。」
笑顔のお母さんに、私たちがちょっと固まっていると
「ありがとうございます、ではお邪魔します。」
松本くんがそう言って、お母さんに一礼して動き出したから、私たちもつられてあとに続いた。
「さすがにこの人数じゃ、俺の部屋じゃ入りきれないから。」
と案内されたのは応接室、「応接間」じゃなくて・・・。聞けばここでお父さんが時々、会社の会議を開く時に使うそうで、こんな部屋が自宅にあるなんて、もう理解の範疇を超えている。
「なぁ、お前のオフクロいくつなんだよ?どう見てもまだ30代だよな。」
とにかく圧倒されている私たちの中で、大宮くんの興味は別のところにあるらしい。
「37だったかな。20歳の時に親父にたぶらかされて、強引に結婚させられて、すぐ俺を生んだらしいよ。可哀想にな。」
それに対する白鳥くんの言い草にも驚いたけど、お茶を運んで来てくれたお母さんは、とても可哀想には見えない幸せそうな笑顔だった。一緒に1人の少女がお菓子を運んで来て
「妹の唯、中1なんだ。」
白鳥くんが紹介してくれて、こんにちはと頭を下げてくれたけど、私はなんか睨まれてたような気がするのは気のせい、だよね・・・。
「さぁ、始めようぜ。」
出していただいたクッキ-はとろけそうな甘さで、大満足だったけど、松本くんの一言で、私たちはここに集まった本来の目的を思い出した。
「では、ごゆっくり。」
そう言って頭を下げて、椎名さんは走り去って行く。ドラマかなにかでしか見たことのない豪邸の前に取り残されたかのような形になって、茫然としていると
「入ろう。」
白鳥くんは何事もなかったかのように歩き出す。私たちはおずおずと付いて行くしかなかった。
「ただいま。」
玄関のドアを開いて、白鳥くんが中に声を掛けると、ずらりとお出迎えの人々が・・・なんてことはなかったけど、彼の後ろ姿越しに広がるのは、装飾品に彩られた豪華絢爛な光景。
「まさしくドラマの世界だ・・・。」
「うん・・・。」
思わず、隣の久保くんとそんなことを言い合っていると
「あら、みなさんいらっしゃい。」
と言いながら現れた女性。お姉さん?・・・って思っていると
「ただいま、母さん。友達、連れて来た。」
えっ、お母さん・・・?あまりにも若くて、お美しい姿に私たちは目を見張る。
「みなさん、ようこそ。今日はウチの息子に勉強を教えてもらえるそうで、助かります。さぁ、どうぞ。」
笑顔のお母さんに、私たちがちょっと固まっていると
「ありがとうございます、ではお邪魔します。」
松本くんがそう言って、お母さんに一礼して動き出したから、私たちもつられてあとに続いた。
「さすがにこの人数じゃ、俺の部屋じゃ入りきれないから。」
と案内されたのは応接室、「応接間」じゃなくて・・・。聞けばここでお父さんが時々、会社の会議を開く時に使うそうで、こんな部屋が自宅にあるなんて、もう理解の範疇を超えている。
「なぁ、お前のオフクロいくつなんだよ?どう見てもまだ30代だよな。」
とにかく圧倒されている私たちの中で、大宮くんの興味は別のところにあるらしい。
「37だったかな。20歳の時に親父にたぶらかされて、強引に結婚させられて、すぐ俺を生んだらしいよ。可哀想にな。」
それに対する白鳥くんの言い草にも驚いたけど、お茶を運んで来てくれたお母さんは、とても可哀想には見えない幸せそうな笑顔だった。一緒に1人の少女がお菓子を運んで来て
「妹の唯、中1なんだ。」
白鳥くんが紹介してくれて、こんにちはと頭を下げてくれたけど、私はなんか睨まれてたような気がするのは気のせい、だよね・・・。
「さぁ、始めようぜ。」
出していただいたクッキ-はとろけそうな甘さで、大満足だったけど、松本くんの一言で、私たちはここに集まった本来の目的を思い出した。