With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
私たちがまず広げたのは、英語のテキスト。昨日のファミレスで、どの教科をやろうかと相談したとこころ、圧倒的に英語と数学のご要望が多かった。やっぱりこの2教科を苦手にしてる子は多いもんね。


既に発表された試験範囲をもとに、勉強を始めるがすぐに


「おい、この単語、なんて読むんだ?」


と佐藤くんから声が上がったのをきっかけに、4人からは次々と質問が。それに私と久保くんが答えて行く。そうこうしていると、時間はあっという間に過ぎて行き


「でもさぁ、俺達も一応受験して、ウチの高校入ったんだよな?なのに、なんでこんなに木本さんや創と差が出来たんだ?」


「そりゃ同じ合格でも成績に上中下があるってことだろ。」


時計の針は19時をまわり、そろそろお開きにということになり、白鳥くんと佐藤くんがそんなことを言い出す。


「みどりの説明の方が、教師よりよっぽどわかり易かった。ありがとうな。」


「いえいえ。選手のお役に立てるなら、マネ-ジャ-冥利に尽きます。」


大宮くんからお褒めの言葉をいただき、私はややおどけ気味に答える。


「とにかく毎日というわけには行かないけど、あと2回くらい、この機会を設けたいな。白鳥、いいか?」


松本くんの問いに


「ああ、ウチはいつでもOKだ。」


白鳥くんは即答。


「でもあの送迎は申し訳ない。ここまでの足は、ちゃんと自分達で確保しよう。」


「そうだね。」


「気にするなよ。自転車でも優に30分はかかるんだぜ。時間がもったいないだろ。」


「いやいや、あれはやっぱりやばいよ。いろんな意味で。」


そんなことをワイワイ話しながら、帰り支度をしてると


「みなさん、お疲れ様。簡単なものだけど、お夕飯を用意したから、みなさん食べてって。」


お母さんが入って来て、笑顔で私たちに告げる。


「えっ?そんなご迷惑を・・・。」


私が慌てて遠慮すると


「迷惑もなにも、もう用意しちまったんだから、食べてってくれないと、そっちの方が困る。それに俺が言うのもなんだけど、ウチの母親の料理は絶品だから、期待してもらっていいぜ。」


白鳥くんに言われて、お言葉に甘えることに。実際いただいたお料理はどれも美味しかったし、最後はまた椎名さんに送っていただいて、まさしく至れり尽くせり。私たちは恐縮しきりだった。
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