With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
⑭
無事初戦を突破した私たち。次の試合は3日後、それに向けて、練習を続ける。
正式に梅雨明け宣言も出て、いよいよ夏本番。そして私たちの夏も徐々に佳境に入って行く。選手の健康管理に気を配るのも、私の大事な仕事。残念ながら、ベンチから外れてしまった選手達にも協力してもらって、飲料の補充を始めとした環境整備の為に、動き回る。
それが一段落して、グラウンドに戻ると、ノックが始まっていた。
「あちぃな。」
そんな声がして、振り向くと汗をびっしょりかいた大宮くんだ。ノックが終わって、水分補給をしていたようだ。
「お疲れさん。」
「みどりもな。」
そう言って、フッと笑みを浮かべる大宮くん。
「実は今日は、少し心配してたんだ。」
「何を?」
「君がひょっとしたら、来ないんじゃないかって。」
「昨日、1打席でひっこめられたから、へそ曲げてか?」
「うん。」
「博じゃあるまいし、そんなことするかよ。昨日は監督の指示を、いきなり無視した俺が悪いんだ。そのくらい、ちゃんとわかってるよ。」
「そっか、ごめん。」
余計な心配だったと、私は詫びる。
「初回の先頭バッタ-は、とにかく1球でも多く投げさせて、相手ピッチャ-の情報を後続の為に引き出す。そんなのイロハのイだからな。」
「それがわかってて、どうして?」
「つい、手が出ちまったんだよ。あまりにも絶好球過ぎて。ヤベッて思ったけど、まぁヒットだから大目に見てくれるかなと思ったら、即交代。参ったよ。」
と苦笑いを浮かべる大宮くんに、私も思わず笑ってしまう。最初は本当に嫌だった彼からの名前呼びも、いつのまにか受け入れてしまったけど、初対面の時からは、だいぶ印象が変わった。
「とにかく監督は、いい加減なプレ-は許さない。それがどんな選手だろうと。1年でただ一人、レギュラ-になって、俺なら当然といささか天狗にもなってたところ、ガツンとやられてしまった。」
「・・・。」
「とにかく他の外野手を見ても、センターこなせそうなの、見当たらなかったから、ちょっと油断してたけど、思わぬ伏兵がいた。気を引き締めていかないと。」
「伏兵?」
「ああ。本当、盲点だった。」
大宮くんの言ってることが、この時の私には、イマイチ、ピンと来てなかった。
正式に梅雨明け宣言も出て、いよいよ夏本番。そして私たちの夏も徐々に佳境に入って行く。選手の健康管理に気を配るのも、私の大事な仕事。残念ながら、ベンチから外れてしまった選手達にも協力してもらって、飲料の補充を始めとした環境整備の為に、動き回る。
それが一段落して、グラウンドに戻ると、ノックが始まっていた。
「あちぃな。」
そんな声がして、振り向くと汗をびっしょりかいた大宮くんだ。ノックが終わって、水分補給をしていたようだ。
「お疲れさん。」
「みどりもな。」
そう言って、フッと笑みを浮かべる大宮くん。
「実は今日は、少し心配してたんだ。」
「何を?」
「君がひょっとしたら、来ないんじゃないかって。」
「昨日、1打席でひっこめられたから、へそ曲げてか?」
「うん。」
「博じゃあるまいし、そんなことするかよ。昨日は監督の指示を、いきなり無視した俺が悪いんだ。そのくらい、ちゃんとわかってるよ。」
「そっか、ごめん。」
余計な心配だったと、私は詫びる。
「初回の先頭バッタ-は、とにかく1球でも多く投げさせて、相手ピッチャ-の情報を後続の為に引き出す。そんなのイロハのイだからな。」
「それがわかってて、どうして?」
「つい、手が出ちまったんだよ。あまりにも絶好球過ぎて。ヤベッて思ったけど、まぁヒットだから大目に見てくれるかなと思ったら、即交代。参ったよ。」
と苦笑いを浮かべる大宮くんに、私も思わず笑ってしまう。最初は本当に嫌だった彼からの名前呼びも、いつのまにか受け入れてしまったけど、初対面の時からは、だいぶ印象が変わった。
「とにかく監督は、いい加減なプレ-は許さない。それがどんな選手だろうと。1年でただ一人、レギュラ-になって、俺なら当然といささか天狗にもなってたところ、ガツンとやられてしまった。」
「・・・。」
「とにかく他の外野手を見ても、センターこなせそうなの、見当たらなかったから、ちょっと油断してたけど、思わぬ伏兵がいた。気を引き締めていかないと。」
「伏兵?」
「ああ。本当、盲点だった。」
大宮くんの言ってることが、この時の私には、イマイチ、ピンと来てなかった。