With you~駆け抜けた時・高1 春&夏編~
今どき、プロ野球ほど大掛かりなものではないけど、パソコンを使っての相手校の分析くらいは、ほとんどの学校がやっている。
昨日の試合でも、それが功を奏して、勝ち上がれた面もあった。
「もうちょっと早めに完成すればよかったんだけど、とりあえず、同じブロックの高校のデータ入力は終わった。これに最新の試合の情報をインプットしていけば十分使えると思う。」
「そうなんだ、凄いじゃない。でも大変だったでしょ?」
「いや、ベースになるプログラムは山下先輩が残してくれてたから。」
「山下先輩?」
聞き慣れない名前に、私が思わず聞き返すと
「山下沙耶香さん。俺より2年先輩の元マネージャーだ。副キャプテンも兼務する姉御肌の厳しい先輩で、木本みたいに優しく『〇〇くん』なんて、間違っても呼んではくれなかった。俺なんか、当時のキャプテンより山下さんの方がおっかなかったくらいだが、でもマネージャーとしては、本当にいろいろ面倒を見てもらったし、お世話になったよ。そうか、山下さんのデータベースを使ったのか・・・。」
キャプテンは懐かしそうに言う。
「せっかくの山下の置き土産も、後任のマネージャーはいないし、俺にはチンプンカンプンで、完全な宝の持ち腐れ状態だったが、久保のお陰で、やっと日の目を見ることが出来た。木本は久保と協力して、コイツを活用させてくれ。」
「はい。」
「じゃ、とりあえず次の対戦相手の西条高校のデータを・・・。」
頷いた私に、久保くんがいろいろと説明してくれる。私も正直、パソコンが得意な訳じゃないけど、でも山下先輩に負けないように頑張らないと。
話が終わり、監督室を出た私と久保くんはグラウンドに向かった。
「ねぇ、久保くん。」
歩きながら、声を掛ける。ずっと気になっていることがあるんだ。
「なに?ミッチャン。」
「あの・・・まさかとは思うけど、選手辞めちゃうつもりじゃないよね?」
このところの久保くんの動きを見てて、正直心配になってしまう。
「もちろん、そんなつもりはないよ。」
いつものような優しい表情で、でも久保くんは、はっきり答える。
昨日の試合でも、それが功を奏して、勝ち上がれた面もあった。
「もうちょっと早めに完成すればよかったんだけど、とりあえず、同じブロックの高校のデータ入力は終わった。これに最新の試合の情報をインプットしていけば十分使えると思う。」
「そうなんだ、凄いじゃない。でも大変だったでしょ?」
「いや、ベースになるプログラムは山下先輩が残してくれてたから。」
「山下先輩?」
聞き慣れない名前に、私が思わず聞き返すと
「山下沙耶香さん。俺より2年先輩の元マネージャーだ。副キャプテンも兼務する姉御肌の厳しい先輩で、木本みたいに優しく『〇〇くん』なんて、間違っても呼んではくれなかった。俺なんか、当時のキャプテンより山下さんの方がおっかなかったくらいだが、でもマネージャーとしては、本当にいろいろ面倒を見てもらったし、お世話になったよ。そうか、山下さんのデータベースを使ったのか・・・。」
キャプテンは懐かしそうに言う。
「せっかくの山下の置き土産も、後任のマネージャーはいないし、俺にはチンプンカンプンで、完全な宝の持ち腐れ状態だったが、久保のお陰で、やっと日の目を見ることが出来た。木本は久保と協力して、コイツを活用させてくれ。」
「はい。」
「じゃ、とりあえず次の対戦相手の西条高校のデータを・・・。」
頷いた私に、久保くんがいろいろと説明してくれる。私も正直、パソコンが得意な訳じゃないけど、でも山下先輩に負けないように頑張らないと。
話が終わり、監督室を出た私と久保くんはグラウンドに向かった。
「ねぇ、久保くん。」
歩きながら、声を掛ける。ずっと気になっていることがあるんだ。
「なに?ミッチャン。」
「あの・・・まさかとは思うけど、選手辞めちゃうつもりじゃないよね?」
このところの久保くんの動きを見てて、正直心配になってしまう。
「もちろん、そんなつもりはないよ。」
いつものような優しい表情で、でも久保くんは、はっきり答える。