秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています
プロローグ
ラグジュアリーなスイートルームの一室で、目の前にいる極上の男性が微笑みを浮かべる。
「まだ緊張しているのか?」
「んっ」
「もっと楽に。俺に全部委ねて」
愛撫されるたび、ひんやりと冷たかったシーツに熱がこもり、全身が汗ばんでいくのがわかった。
余すところなく舌が這い、胸の敏感な部分を捉える。
「んっ」
ふわふわと宙に浮くような思考の中、強烈な快感に襲われ腰がビクンと反応してしまう。
「わかりやすいな、杏奈は」
ひどく艶めかしい声が耳元に響いて、そっと吹きかかる吐息にも奥から熱があふれそうになる。
こんな単純な自分が嫌だ。
だけどこうなることを望んだのは私自身。
この行為に未来はないとわかっている。
だから期待はしない。
「俺のことだけ考えていろ」
だんだんと余裕がなくなっていく切羽詰まった声色。
「ああ……!」
熱いものに貫かれた瞬間、体の芯が火照って大きく腰が跳ね上がった。
甘く激しく押し寄せる快感の波に、細い糸一本で繋がっていた理性が飛んでしまいそう。
声が出そうになるのを耐えていると、柔らかな唇が降ってきた。
激しく打ちつける腰とはちがって優しいキスが落とされる。
こんな触れ方をしてずるいと思う私がいる反面、心は彼を求めてしまう。
たった一夜だけだから、どうか今だけは、甘い夢を見させて。
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