秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

午後からはオペが重なり患者の送りだしと迎え、緊急入院もあって体力的にもハードな一日となった。

やり残した仕事はないか、記録の抜けはないかをメモ代わりに使っている用紙を見ながら電子カルテを開いて念入りにチェックする。

抜けがあれば夜勤者に迷惑がかかってしまうので、気が張ってしまう。電子カルテを操作しながらひと通りチェックし終えたときには、日勤者は私ひとりだけになっていた。

さて、私も帰ろう。そう思い、ナースステーションから出て廊下を歩いた。病棟内は夕食の時間なのでバタバタしている。

それは昼間もだけれど、食事時というのは忙しさのピークでまさに戦争状態。そこにオペのお迎えが重なれば、人の手がいくらあっても足りないほどだ。

「うっ……」

斉木さんの病室の前を通ったとき、小さな呻き声が聞こえた気がして開けっぴろげになった個室の中をなにげなく覗いた。

ん?

端座位でオーバーテーブルにだらりと前のめりにうつ伏せている斉木さん。夕食のお膳に顔をつけている格好で、明らかに様子がおかしい。

「斉木さん!」

ただごとではない雰囲気、看護師のカンというものが働いた。

「大丈夫ですか!」

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