秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています

結果的に誤解がとけて気持ちが通じ合った。

関根院長がいなかったら、きっと二度と会うことはなかっただろう。

「爺さん、俺は杏奈と一緒になります。そして必ず幸せにしてみせる」

「み、三井、先生」

なんの迷いもなく言ってのける三井先生の顔は真剣だった。本気なのだというのはわかるが、恥ずかしくてどうにかなってしまいそう。

「なんだ、そういうことだったの」

「よかったわねぇ、芹沢さん。本当によかった」

小園さんと滝野さんが涙目で私を見つめる。

「心配していたのよ、これでもね。だけど幸せそうでよかったわ。院長だってそうですよね?」

「ええ、芹沢さんは孫のようなものですからね。二人で力を合わせて幸せになってください。応援していますよ」

うんうんと小園さんと滝野さんも関根院長の言葉に同意する。

思いがけないところに私たちを応援してくれる人がいて、運命の巡り合わせで私たちは結ばれたのだと思う。

「この子が私たちを繋いでくれたのかもしれません」

すやすや眠る愛しい我が子。まだ何もわからないというのに、もしかすると全部わかっていて私たちを結んでくれたのだろうか。

「ああ、きっとそうだな」

手と手を取って見つめ合う。

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